【獣医師監修】犬のおやつの種類と与え方、しつけへの利用について
犬はおやつが大好きです。おやつの袋を取り出しただけで、「おやつが食べられる!」と喜んで駆け寄ってきます。そんな喜ぶ姿を見たいからといって、何も考えずにおやつを与えてしまうと大変なことになります。今回は、おやつの種類から与え方、しつけの方法までを紹介します。
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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長
犬のおやつの選び方
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犬にとってのおやつとは、当たり前のことですがごはんとは別物です。ごはんは栄養バランスが考えられていますし、犬の成長を手助けするもの。おやつはあくまでご褒美のひとつで、トレーニングや間食で与えるものです。そして、ごはんと違い少量ずつ何度も与えることで、犬になにか新しいことに慣れてもらったり、覚えてもらったりするのにとても役立ちます。これについては最後の「おやつをしつけに活用する」の項で説明します。
おやつと一口にいっても、その種類は多様であり、カロリーをかなり抑えてあるものから、意外と高カロリーのものまで様々です。おやつの与えすぎが肥満の原因になることもあります。
このようなことを考慮すると、おやつにはあまりカロリーが高くないものが適しているでしょう。さらに、最近では無添加のものなども、種類が豊富になっています。
ラムや鶏の心臓、鹿のアキレス腱などを与えると、おそらく犬は大喜びするでしょう。また、ご自身で手作りおやつを作られる方もいらっしゃいますね。
さらに言うと、じつはドライフードだっておやつの代わりになります。
「うちの子は病気があるからおやつはあげられない」というご家庭でも、食事のとき以外に飼い主が与えれば、いつものドッグフードが立派なおやつになることを是非知っておいてください。
適切なおやつの量とは?
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おやつでお腹がいっぱいになってごはんが食べられなくなってしまうのは本末転倒です。それではどれくらいの量を目安に与えるのが良いのでしょうか?
大切なのは、犬が1日に必要とするカロリーを大きく超えさせないことです。例えば1日に500kcalを必要とする場合で、ドッグフードで500kcalを取り、おやつで100kcalを取っていたら、100kcal分オーバーしていることになりますよね。かといって、ドッグフードをその分減らして400kcalにすればいいかというと、それでは栄養面で偏りが生じます。
おやつで与えるカロリーはなるべく抑え、食事量を大幅に減らすことがないようにしましょう。その点、ドッグフードを喜んで食べる犬であれば、1日に与える量のドッグフードから、あらかじめおやつ用として取り分けておいた分を与えることで、カロリーオーバーも栄養の偏りも心配せずに済むので一石二鳥です。
ご褒美という行為そのものに意味がありますので、何種類ものおやつをそろえておく必要はないでしょう。
おやつは大きいまま売られていることも多いですが、そのまま与えてしまうと喉つまりを起こしてしまう可能性があります。犬は基本的に食べ物をほとんど噛まずに飲み込んでしまう習性があるので、おやつは必ず細かくしておいて、消化しやすいようにしておきましょう。また、食べ過ぎにならないように、1日ごとのおやつを小分けにしてパッケージしておくと、過度の摂取をさけることができます。
おやつをしつけに活用する
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そして、おやつの最大の利点は、しつけに利用できることです。この場合は「おやつの量」ではなく、「おやつを与える」という行為の方が重要視されます。これはしつけに限ったことではないですが、1回の量を増やして少ない回数をあげるよりも、1回の量を減らして回数を多くあげた方が犬にとっては嬉しいものなのです。
歯磨きや爪切りなど、犬にとってはあまり嬉しくない行為でも、慣れてもらわなくてはいけないことがあるかと思います。そんな時に、おやつをうまく使いながら慣らしていくと、「嬉しいことが起こる」と覚えてくれるため、犬のストレスを軽減することができます。
また、男の人が苦手、子どもが苦手、帽子をかぶっている人が苦手、など苦手な人がいる場合は、その人たちの手からおやつを与えてもらうことも社会化に役立ちます。
このように、おやつを上手に利用し、犬のしつけ・トレーニングにも役立ててみましょう。