【獣医師監修】猫に散歩って必要? 適切な頻度や時間、 距離、知っておくべきマナーとは?

猫にとって、散歩はうれしいものなのでしょうか? 散歩するなら、首輪やハーネスは必要? 散歩の方法は? 猫の散歩について紹介します。

  • サムネイル: PECO編集部
  • 更新日:

監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

猫に散歩は必要?

動物,犬,猫,しつけ,飼い方,育て方,病気,健康

korkiatt/Shutterstock.com

2015年、猫に紐をつけて散歩する武士の絵が話題になり、戦国時代のものではないかとツイッター上でちょっとした騒ぎになりました。その絵は今世紀になって描かれたものということが判明しましたが、猫との散歩は飼い主ならだれもが夢見る光景だけに、時代設定のおもしろさとあわせて注目を集めたのかもしれません。

猫は犬のように従順な動物ではないため、散歩に連れ出す代わりに、放し飼いにより自由に外を出歩かせる飼い方が一般的でした。しかし、今は外へ出すと事故にあう可能性が高く、ノミやダニをつけてきたり、猫エイズなどの感染症をもらってきたりする恐れもあるため、完全室内飼いをする人が増えています。

しかし、室内だけで飼っていると、放し飼いの猫より運動量や刺激が少なく、体重が増え、とくに以前野良猫だった場合は、ストレスが溜まって問題行動を引き起こしてしまうこともあります。そんな猫にとって散歩をさせることは心身のリフレッシュにもなり、効果的かもしれません。

ちなみに、猫が外へ行きたがるのは、なわばりを確認するためです。散歩がしたいわけではないということだけは覚えておきましょう。一度も外へ出たことのない猫は、猫自身も望んでいないため、無理に連れ出す必要はありません。

散歩させるときの注意

動物,犬,猫,しつけ,飼い方,育て方,病気,健康

Karpova/Shutterstock.com

犬のようにリードをつけて猫を散歩させることは、猫を飼う人ならだれもが思い描く夢といってもいいでしょう。なぜなら、猫がおとなしくリードをつけさせ、人間の指示に従いながら散歩できるとは、ほとんどの飼い主が思っていないからです。実際、成猫になってからの散歩は簡単に実現できるものではありません。散歩をさせたいと考えているなら、できるだけ小さいうちから慣らしておくことが必要です。

ワクチンなどの接種は済ませておく

猫にとって外は危険がいっぱいです。野良猫と遭遇して、細菌やウイルスをもらってしまうかもしれません。病気のリスクを避けるためにも、ワクチン接種のほか、ノミやダニの予防も行っておきましょう。

必ず散歩紐をつける

猫を外へ連れ出す時は、必ずハーネスや首輪を装着し、リード(散歩紐)をつけましょう。首に巻くだけの首輪と比較して、胴体に装着するハーネスの方が猫にとって安全なうえ、外れてしまう危険性も低いです。ただし、ハーネスはカラダに触れる面積が大きいため、苦手とする猫もいます。やむを得ず首輪を使用する場合は、首が抜けないよう調節して使用すること。外れてしまった場合は、どこかへ逃げ出してしまい、戻ってこられないことも考えられます。

散歩は毎日行く

猫に散歩をさせると決めたら、雨の日を除いて毎日行くようにしましょう。散歩の習慣がつくと、猫は自分から催促するようになります。

動物,犬,猫,しつけ,飼い方,育て方,病気,健康

ezpic/Shutterstock.com

散歩時間、コースは猫の自由にさせる

犬と違い、猫は人間の思い通りには動いてくれません。家の周辺だけで満足する日もあれば、もう少し遠くへ行きたがる日もあります。時間も数分で家に戻ってきたり、30分ほど歩きまわることもあります。できれば車や人通り、犬を散歩させている人が少ない道を意識して、さりげなく誘導してあげましょう。

また、公園など特定の場所を散歩させる場合は、そこまでキャリーバックで運び、公園内を散歩させてから、キャリーバッグに入れて帰ってくるという方法もあります。

車や電車に気をつける

車や電車が通ると、猫はその音に驚きパニックになってしまうこともあります。突然走り出し、リードが手から離れてしまっては大変です。そうした場所は避けるのがベストですが、車や電車が近づいてきた時は猫を抱っこするか、離れた場所で通り過ぎるのを待つなどの対策を講じましょう。

マナーは守る

室内で排泄するしつけができている猫は、外へ連れて行ってもトイレは家に戻ってから、というケースが多いようですが、中には外ですることを覚えて、散歩中に用を足す猫もいるようです。そうした猫の場合、他人の敷地内や、公園の砂場に入らないよう注意が必要です。また、糞処理用のビニール袋やペーパーも忘れずに持参しましょう。

猫の散歩は、運動不足の解消やストレス発散が目的ですが、飛び回る虫にじゃれたり、立ち止まって空をじっと見つめたりする猫の仕草は本当に愛らしくて、つい見とれてしまいます。猫と散歩して癒されているのは、じつは私たち人間の方かもしれません。

内容について報告する