グレート・ピレニーズってどんな犬? 歴史や体の特徴について
真っ白でモフモフの被毛に包まれた大きな体と、愛情深い性格が魅力の犬、グレート・ピレニーズ。この犬のルーツと特徴についてみていきましょう。
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グレート・ピレニーズの歴史
グレート・ピレニーズの起源は定かではありませんが、紀元6世紀頃に行商人などによって中央アジアやシベリアから入ってきたチベタン・マスティフ系の大型犬が、グレート・ピレニーズの祖先であると考えられています。山岳地帯で牧羊犬と番犬として活躍し、家畜を襲おうとする狼や熊にも果敢に立ち向かって追い払い、時には戦うという役目を果たしてきました。
17世紀に入るとグレート・ピレニーズは、その評判を買われてフランス宮廷に迎え入れられ、護衛犬として働くようになります。あのルイ14世やマリー・アントワネットの寵愛を受けたこの犬は、1635年に「フランス王室犬」に定められることになります。
しかし、山岳地帯のオオカミやクマが減少するにつれ、上流階級の護衛という役割も減少して人気も徐々に低下、ついには原産国フランスにおいて絶滅寸前とまで言われるようになってしまいます。しかし、山岳地帯に残っていた質の良い血統を受け継いだグレート・ピレニーズが愛好家たちにより発見されると、彼らを土台とした改良繁殖が行われ、絶滅の危機を脱することができました。
この犬種がイギリスのケネルクラブに認められたのは1885年。ヨーロッパ各国ではピレニアン・マウンテン・ドッグと呼ばれているのに対し、アメリカ国内ではグレート・ピレニーズという名前で通っています。
グレート・ピレニーズの体の特徴
グレート・ピレニーズの標準の体高は、雄で70~80㎝、雌で65~75㎝にもなり、大型犬として知られています。祖先が山岳地帯で生息していたこともあり、体格はがっちりとし、体重も50~60㎏ほどになるため、ケガや病気の際に大人一人で移動させるのは難しいでしょう。
その大きな体を包み込む被毛も特徴の一つです。もともと極寒の山岳地帯にいた犬種なので、その寒さに耐えられるようにたくさんの被毛でその体を守っていました。被毛は密集した下毛と長い剛毛の上毛のダブルコートになっており、体の熱を外に逃がさないような構造になっています。
毛色は一般的に白一色になりますが、白をベースとしてグレーや薄いイエロー、ウルフ、オレンジなどのパッチ(斑)が頭や耳、尾の付け根などにある場合もあります。
また、グレート・ピレニーズは血統としてオオカミに近い犬種で、その名残で後ろ足に狼爪(そうろう)と呼ばれる2本の爪を持っています。近年は家庭で飼育されることが多くなったので切り落としてしまうことが多いのですが、犬種の証として残しておく場合もあります。
グレート・ピレニーズの顔の特徴
グレート・ピレニーズは中頭種の部類に属しており、もっとも一般的にみられるタイプの頭の形をしています。耳は小さめで垂れ耳、目は真っ黒で大きくやさしい表情をしています。番犬や警護犬としての役目を果たしていたので、迫力ある吠え声をしていますが、無駄吠えをせずに必要な時に吠えるのが特徴です。
牧羊犬や番犬としてのルーツを持つグレート・ピレニーズ。いざという時は飼い主や家族を守ろうと勇敢に立ち向かってくれる犬種です。家族の一員として迎え入れるにはぴったりの犬ですので、愛情をもって接してあげてください。