【獣医師監修】犬の虫歯|考えられる原因や症状、治療法と予防法について

犬と遊んでいる時に、何気なく口の中を覗いてみると「あれ、歯が変色している」と感じた時は、虫歯になっているかもしれません。「犬も虫歯になるの? 」と思うかもしれませんが、食べ物を口から摂取しているので、犬も人間同様虫歯になることがあります。

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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

犬が虫歯になる原因

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犬の虫歯は、人間と同じく歯が削られてしまい、穴が開いたり変色したりしている状態を指します。虫歯の種類はおもに「歯の表面の小さなくぼみにできる虫歯」「歯の側面の平らな部分にできる虫歯」「歯の根元にできる虫歯」の3種類があります。

虫歯は、歯垢の中にいる細菌であるミュータンス菌が歯に残った食べかすを食べることで放出した酸により歯の表面のエナメル質を破壊することで起こります。歯の神経・血管まで達してしまうと、痛みを伴うようになります。

犬が虫歯になった時の症状

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犬が虫歯になった時に起こる症状としては、「歯に穴が開く」「歯が変色する」「口臭がきつくなる」などがあります。虫歯が神経にまで達してしまうと、食事中に痛みが走るので、食事に時間がかかったり、まったく食べなくなったりしまうこともあります。

また、犬の歯はもともと白なので、黒や茶、黄色に変色していたら、すでに歯垢や歯石がついて虫歯予備軍に入っている危険性があります。歯茎の色については、個体によって違うので一概にはいえないのですが、基本的には健康な場合はピンク色ですので、血がにじんでいたり、紫っぽく変色していたり、膿が出ていたりする時は歯周病を患っているかもしれません。

そして、口臭についてですが、犬の口臭はもともと無臭なので、少しでも臭うようでしたら虫歯になっている可能性が高くなります。

犬は、口腔内が酸性の人間と違い、口腔内がアルカリ性なので虫歯菌が繁殖しにくく虫歯になりづらいという特徴がありますが、いったん虫歯になってしまうと、その治療にはかなり専門的な知識と技術が必要になります。

犬の虫歯の治療・予防方法

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このように、治療が大変な犬の虫歯ですが、症状に応じて以下のような治療をします。

まずは、虫歯を削り取る方法です。この治療法は初期段階の虫歯におもに使用し、虫歯になった部位だけを削り取って、つめ物をつめて修復するものです。もう少し進んだ場合には、歯の神経である歯髄を除去します。そして、さらに悪化している虫歯を根絶するためには抜歯をすることになります。人間の虫歯の治療法と似ていますね。

大きく違うのは、その治療費です。日本獣医師会が平成27年に行った調査によると、犬の虫歯の治療費の相場は3万円から10万円となっています。ちなみに、この治療費はペット保険に未加入の場合ですので、ペット保険に入っている場合はこの金額よりは安くなります。

なかなかの高額治療になる犬の虫歯ですので、しっかりした予防が重要です。虫歯の予防として一番有効なのは、歯磨きです。虫歯の原因になる口腔内の細菌は、24時間ほど放置すると歯垢を作り出すので、1日に1回以上歯磨きをしてあげることが理想的です。歯磨きをすると、虫歯だけでなく歯周病や歯槽膿漏の予防にもつながります。

また、犬は生後20日前後から乳歯が生え始め、この乳歯は約4か月後に永久歯に生え変わっていきます。この生え変わりの時期が重要で、歯の本数や歯並びをチェックしておきましょう。乳歯が全部抜けずに残ってしまう乳歯遺残という症状が出ると、歯並びが悪くなり、食べかすが溜まりやすくなってしまいます。この食べかすが虫歯になりやすい環境を作ってしまいますし、歯周病の原因にもなります。このタイミングでしっかり犬の歯並びをチェックし、将来的に虫歯・歯周病にならないようにしておきましょう。

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