【獣医師監修】バーマンの特徴や性格、飼い方について
絹のような手触りの長い被毛、サファイアのような濃い青の目。このような特徴を持つことから、「聖なる猫」とも呼ばれることのあるバーマン。じつは、その誕生に関する逸話にも、神秘的な話題に事欠かない猫でもあります。
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長
バーマンの歴史
バーマンの誕生国は、ビルマ(現在のミャンマー)といわれていますが、猫の種類として成立した背景ははっきりとはしていません。9~15世紀のクメール王朝時代の記録によると、バーマンに似た猫がいたことが記されています。
そのバーマンの逸話の中でも有名なのが、女神像を守ろうとした僧侶の物語です。ビルマの山間にあったという寺院には、高貴な僧侶と白い猫が生活していました。この寺院には金の女神像がありましたが、その女神像を盗もうとした盗賊に襲われた時に、女神像を守ろうとした僧侶は心臓発作で亡くなってしまいました。この騒動に気づいた猫が音を立てたことで、若い修行僧たちがやって来て盗賊を追い払うことに成功しました。その時、白い猫は金色の女神の姿になり、この猫を可愛がっていた僧侶の魂が乗り移り、足の先以外の被毛が金色に輝いていたという話です。
もちろん、これはあくまで逸話ですが、バーマンの特徴である白い手足の先はヨーロッパの愛猫家の中で評判となりました。20世紀のはじめ、ビルマではイギリスと清(現在の中国)が戦争状態にあり、ビルマを支配下に置こうと争っていました。そのような時代背景の中、内乱も多く起こり、多くの寺院が襲撃されてしまいました。
その寺院のひとつに、イギリスの軍人たちが守った寺院があり、そこにいた2匹の猫を彼らの住処であるフランスのニース地方に連れて帰りました。この2匹の猫が、ヨーロッパに初めて渡ったバーマンだといわれています。そのうちの1匹は妊娠していて、そこからヨーロッパにおけるバーマンの繁殖がスタートしました。
バーマンの特徴
バーマンの顔は丸く、鼻はローマンシェイプと呼ばれる特徴的な形をしていて、耳は三角形で、サファイアのような青い目を持っています。標準体重は3~7kgなので中型よりやや大きく、被毛はミディアムロングのシングルコートで、もつれにくくサラサラしているのが特徴です。
そしてバーマンの特徴といえば、白い手袋と靴下のような手足の先です。手の方は「ミトン」もしくは「グローブ」、足の方は「レース」と呼ばれています。
バーマンの性格と上手な付き合い方
バーマンは、やさしく落ち着いた性格をしています。やや大型の猫ですが甘えん坊で、飼い主を愛し、ほかの動物たちとも仲良く過ごせる猫です。辛抱強くもあるので、子どもとも上手に付き合ってくれます。
ただ、飼い主の気を引こうといろいろなお手伝いをしようとしてくれます。もちろん、役には立たないのですが、そういう可愛らしい面も持ち合わせています。
バーマンと長く快適に暮らすためのヒント
バーマンは明るく活発な性格ですが、運動量が豊富なのは仔猫時代だけで、大きくなるにつれ動きが落ち着いてきます。遊ぶことは大好きなので、おもちゃを使ってコミュニケーションをとると喜びます。ただし、バーマンは肥満になりやすい傾向があり、それが原因で病気になるリスクが高まります。そのため、日々の食事管理が重要になります。
特徴のひとつであるサラサラした被毛は、週に1~2度のブラッシングもしくはコーミングで手入れをしてあげましょう。
また、バーマンはいくつかの遺伝性疾患を持っています。命の危険につながる疾患は少ないのですが、歩行不能になる可能性がある股関節形成不全や肘・膝の脱臼、先天性の貧毛症、先天性の白内障などの目の病気を持っていることがあるようです。さらにバーマンは戦後、ペルシャとの交雑を行っているので、ペルシャが持っている肥大型心筋症を引き継いだ猫もいます。
個体差はありますが、平均寿命は10~13歳ですので、10歳を越えるとシニア猫となり、高齢による疾患も起こりやすくなりますので、日頃の生活状況をしっかり観察し、いつもと違うことがあれば動物病院で診てもらうようにしましょう。
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