【Shi-Ba探検隊がゆく!】 かゆみや脱毛、その原因は
柴犬に多く見られる皮膚トラブル。愛犬がかゆがっていたり、脱毛してしまったりして悩んでいる飼い主さんも多いはず。代表的な皮膚トラブルの原因、最新の治療法に迫った。(Shi-Ba 2017年9月号より Vol.96より)
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一概には言えない 皮膚トラブルの原因
皮膚トラブルから思い浮かぶ 「アトピー」「アレルギー」という言葉
愛犬に皮膚トラブルがあった時、真っ先に頭に思い浮かぶのは「アトピー」「アレルギー」という言葉ではないだろうか。
しかし、ここでアトピーとアレルギーを混同してはいけない。
ハゲになりたくな〜い!!
「アトピーとは病気ではなく体質のことです。特定の“原因物質=アレルゲン”に対して“アレルギー反応を引き起こす抗体=IgE”が作られやすい体質のことを指します。そのIgEによって、かゆみや脱毛などの症状が出てくることをアレルギーといいます。だから、犬アトピー性皮膚炎もアレルギーの一種ということになります。また、アトピー素因を持っているけれども症状が出ていないという場合もあります」と教えてくれたのはプリモ動物病院の川野先生。そう、アトピーとは体質のこと。では具体的に皮膚トラブルにはどういったものがあるのだろう。
柴犬はもともと皮膚トラブルが多い犬種?
「皮膚トラブルで代表的なのは犬アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、細菌感染症の3つです。ダニ・花粉など生活環境中のものが原因となるのが犬アトピー性皮膚炎、食物が原因となるのが食物アレルギーです。また皮膚トラブルなどで痛んだ皮膚に細菌が増殖することで細菌感染症は発症します」
犬アトピー性皮膚炎、食物アレルギーを併発した田中コロ(メス・2歳)。
さらに食物アレルギーに関しては、上で説明したIgEが関与するI型と、リンパ球が関与しているIV型の2つに分かれる。それは、食物抗原がどちらに反応するかで決まるため混在することもあるそう。このように皮膚トラブルの原因は多岐に渡る。
「重要なのは何が原因なのか突き止めること。原因により治療法が変わるためです」
「日々の診断の中で、柴犬は遺伝的にアトピー素因を持ち、さらに皮膚バリア機能が弱い犬が多いように感じます」
皮膚トラブルで最も行われる治療法はステロイド投与だ。しかし副作用が心配。
また、柴犬は副作用以外にも性格上薬を飲めない、飲めても下痢になるなど治療中に立ちはだかる壁も多いそう。
ステロイドに頼らない治療方法がある
副作用の恐れがほとんどない治療法
では、副作用の心配が少なく、さらに柴犬が陥りがちな壁を取り除ける治療法はないのか。
例えば、犬アトピー性皮膚炎の場合、治療法として薬物治療、スキンケア、環境整備(空気清浄など)の3つがある。しかし、それ以外で川野先生おすすめの治療法があるそう。
「犬アトピー性皮膚炎の治療では減感作療法がおすすめです」
減感作療法とはアレルゲンを体内に少しずつ注入し、徐々に慣らし体質改善を目指すもの。
初診で見られた大きな脱毛も治療により改善。
「この治療法のメリットは副作用の心配がほとんどないこと。またステロイドを使用しなくても平気なレベルにまで改善することもあるほど効果が期待できます」
皮膚トラブルに大事なのは原因解明とアプローチの仕方。病院によって扱う治療法が違うので、かかりつけの先生に相談して「原因」と「愛犬の性質」にあった治療法を行うことが一番だ。
まとめ
かゆみの原因を 突き止めることが大事
「犬も人間と一緒で、かゆいのは困ること。だから、よく観察して皮膚トラブルの原因を探ってあげてください」と先生。
監修:川野 浩志先生
川野 浩志先生
プリモ動物病院練馬 動物アレルギー医療センター・センター長。日本獣医皮膚科学会認定医。アレルギーをはじめとする皮膚トラブルに精通。著書に『はぐれ獣医純情派』(文芸社)などがある。
犬アトピー性皮膚炎に関する情報サイト ▶ http://www.genkansa.jp