【猫びより】地域猫カフェへと成長――里山カフェ「そらいろのたね」【from Japan】(辰巳出版)
【Cat News Network】(猫びより 2018年3月号 Vol.98より)
- 更新日:
能登半島最高峰の宝達山のふもと、緑に囲まれた集落にある里山カフェ「そらいろのたね」は金沢市街から車で1時間ほどの距離にある。
「営業は木金土曜の午後2~7時。お待ちしてますニャ」
2017年2月、名古屋出身で都会に住んでいた会社員青江静男さん(59歳)と左知子さん(56歳)が開いたカフェは、築50年の古民家をモダンに改装。ロングセラー絵本から名を付け「大勢の人が集まる場所になれば」と願いを込めた。
手作りの雨よけがつけられたウッドデッキに集う
地元野菜を使ったデザートや天然酵母パンが人気で、都会の味が珍しいと近所のおばあちゃんが買い占めてしまう程の美味しさ。しかし元々たくさんいた集落の野良猫たちが集まってくるようになり、多いときは17匹も。お腹をすかせて寄ってくる猫を、青江夫妻は放っておけず、中にはお腹が大きい猫もおり、何とかしなければと金沢市のNPO法人「猫の避妊と去勢の会」に協力を求めることに。大人の猫には避妊去勢を施し、生まれた子猫は13匹もいたけれど、里親募集で全て貰い手を見つけた。
猫部屋コーナーでくつろぐグレちゃんを愛でる左知子さん
お店をオープンしたばかりで大変な時期だったが、猫用のトイレや寝床も手製で設置し、近所の人々からは「野良猫たちが民家に入ってイタズラしなくなったし、ふっくらとして可愛くなったよ」と感謝されたそう。6月にはチャリティ演奏会をカフェで開催し、近隣住民に地域猫への理解を深めると共に活動支援基金とし、好評を得た。
水源の森百選に選ばれた宝達山は水質が良く緑豊か
和風の畳部屋カフェスペースもあるが「猫が好きならどうぞ」と通されるのが暖炉のある洋間。裏庭の緑の中を気ままに歩く10匹近くの外猫たちを、大きな窓から網戸越しに眺めることができる。
薪ストーブがある洋室カフェは、どこか懐かしい雰囲気
そんな外猫生活から家猫となった猫もいる。グレちゃん(約2歳♂)は一旦里親さんに貰われたものの脱走して出戻り、外猫とも合わずケガをしてしまっていたので保護。ワラちゃん(約2歳♂)は捨て猫で、外猫の縄張りに入れずガリガリに痩せていたため、家の中に。新たに秋に加わった三毛のマスクちゃん(6ヶ月♀)と白黒のサラリちゃん(約6ヶ月♀)は、隣の集落で生まれた野良子猫。4匹ともやや人見知りだが、暖かな薪ストーブの前で、仲良く丸くなっている姿に癒される。
素材を厳選したスイーツも可愛く猫顔に
ガトーショコラ等のスイーツと、宝達山の伏流水を使ったコーヒーが絶品。外猫たちの毛並みもツヤツヤしているのは、宝達山の水と青江夫妻の優しさのおかげなのだろう。
里山カフェ そらいろのたね
石川県羽咋郡宝達志水町宝達口113
TEL 0767-35-0304
営業日:木~土曜
営業時間:14:00~19:00
https://www.facebook.com/satoyama.soraironotane
(写真・文 原田佐登美)