【猫びより】猫愛が繋ぐ2つの「猫の家(バーンメオ)」【from Thailand】(辰巳出版)
【Cat News Network】(猫びより 2019年11月号 Vol.108より)
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希少なタイ原産猫5種に会える場所
タイの首都バンコクから車で約1時間の、水上マーケットで有名なアンパワーには、タイ語で「猫の家」という意味の、タイ原産猫の保護施設「バーンメオ」がある。
グレーの毛並みが美しいコラート種の猫たち
遊びたくてウズウズ中!
猫を愛してやまなかったオーナーの故・プリチャーさんの祖父の代からおよそ75年続くバーンメオでは、今もウィチェンマー種(シャム猫)をはじめ5種約130匹が暮らしている。500年前のアユタヤ王朝時代には29種がいたそうだが、現在残るのは5種のみだそうだ。
明るく広々としたプレイルーム
バーンメオの猫たちのフードはヒルズのみ
タイの猫は飼い猫、野良猫に関わらずみんなとても人懐こいが、バーンメオでも人の気配がすると敏感に察知し、可愛らしい声で注意を引き、ケージの中から身を寄せてくる猫が多い。施設内には猫たちと触れ合えるプレイルームもあり、広々とした空間で猫たちとまったり過ごすこともできる。
人が大好きなカオマニー種の2匹
タイ原産猫5種の紹介
今では施設の隣にカフェを開いた息子さんはじめ、家族や親戚のおばさんまでが力を合わせて運営を継承。タイ原産猫5種の保存、繁殖、飼育を行っている。もちろん繁殖対象以外の猫たちも大事に保護しているので、100匹を超える猫たちのエサ代やワクチン代、猫砂代などを捻出するのは並大抵のことではない。
猫と共に生きたプリチャーさんの祭壇
最近は訪問者も増え、寄付も以前よりは集まりやすくなったものの、猫たちの世話に終わりはないのだ。是非多くの人に、バーンメオでタイ原産猫の血を引く猫たちと触れ合い、その魅力を知ってもらいたい。
バーンメオ
2/1 Moo7, Kwae-Oom, Amphawa, Samutsngkhram 75 100
※バンコクから車をチャーターして行くのがオススメ。
シャム猫9匹と遊び放題のパラダイス
バンコクにある猫カフェ & 雑貨店「Chico」のオーナーの松本幸子さんは、アンパワーのバーンメオのオーナー、プリチャーさんと生前交流のあった、タイ在住の猫好きの一人だ。
幸子さんに抱かれて脱力中のマナオ君
ただ今休憩中のアレックス君
「プリチャーさんは長年地道にタイ原産猫の保存、繁殖、飼育に取り組んでこられました。少しでも彼の力になれればと思い、2017年にクラウドファンディングで資金を集め、老朽化したバーンメオの改装に着手したんです」。
祖母のカオちゃん(奥)と孫のみそ君
遊び好きで人懐こいシャム猫は相棒に最適
見違えるほどきれいになり、猫たちも快適に過ごせるようになった施設を見届けるようにプリチャーさんは天に召されたという。Chicoには、バーンメオから譲り受けた4匹のシャム猫から繁殖した9匹のシャム猫がいて、Chico版バーンメオとして地元の人々や観光客に人気だ。
接客係は9匹のシャム猫たち
猫まみれになれるChico版バーンメオ
買い物したお客様やカフェの利用者は、敷地内の南国風バーンメオの中で、自由に猫たちと戯れることができる。幸子さんは「シャム猫はとても人懐こくて優しくて甘えん坊なので、人と暮らすのに向いているんですよ」と太鼓判を押す。
センス抜群のオリジナル雑貨が並ぶ店内
生まれた時から猫と一緒で、店では野良猫も含め16~17匹の世話をし、自宅では猫3匹と犬1匹と暮らしているという。猫が繋ぐ不思議な縁で結ばれた、アンパワーとバンコクの2つのバーンメオで、猫を愛する人々の絆と愛と優しさとパワーに深く心を動かされた。
Chico
109 soi Sukhumvit 53(Paidee-Madee), Klongton-Nua, Wattana, Bangkok 10110
http://www.chico.co.th
Facebook:@Chico design bangkok
(写真・文 平野敦子)