今さら聞けないSEMINAR vol.1 『ストレスなしの抱っこ & 触り方 & ケア』その5
「わかっているつもり」のその行動、実は愛犬にとってストレスになっているのかも!?(MY♡DOG Winter 2019-20 Vol.1より)
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愛犬を抱っこしたり、体に触れたり、健康状態のチェックをしたり。普段何気なく行っているコミュニケーションも、正しい方法にすることで、愛犬をしっかりコントロールできるようになり、急病や災害時など、もしものときに、不幸な事故を防ぎ、安全を守れます。愛犬との暮らしをより幸せなものにするために、正しい「抱っこ」「触り方」「ケア」を学びましょう!
※犬に負担のかかる可能性のある抱っこや触り方、ケアの例は、生体ではなくアミグルミで行っております。
※シニア犬に配慮して、ストロボを使用せずに撮影を行っております。
※モデル犬の年齢は雑誌掲載当時のものです。
今回の受講者 宮代貴子さん
愛犬のために、正しい知識が欲しい!
3頭の愛犬と一緒に暮らしている宮代貴子さん。今回は、初心に帰って基本を学ぶため、ティアラちゃん(メス・9カ月/3kg/チワワ)と一緒に受講します!
今回の講師 三浦裕子先生
東京都江戸川区の「ペットケアサービスLet’s」の代表。食事や行動学など、広い知識に基づいたケアで、愛犬と飼い主さんの豊かな生活のサポートに尽力しています
ペットケアサービスLet’s
東京都江戸川区中葛西2-19-13
☎ 03・3675・0250
お手伝いしてくれるモデルたち
ベルちゃん(メス・8才/5kg/トイ・プードル)
とんちゃん(メス・2才/7kg/フレンチ・ブルドッグ)
杏ちゃん(メス・2才/4kg/ミニチュア・ダックスフンド)
慎之介くん(オス・9才/10kg/ミックス)
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【「いつもどおり」を把握するために!】普段のケアで愛犬の健康を守ろう
愛犬の健康状態のチェックはとても重要で、普段の状態を把握しておくことで、様子がおかしいときにもすぐに気づくことができます。「歯を磨いたり、耳の汚れを取ったりなど、簡単なことでも毎日ケアすることが、愛犬の健康を保つことにつながります」と、三浦先生。ケアのポイントと方法を伺いました!
『 毎日見よう! チェックすべきポイント 』
三浦先生のNGチェック!
毎日の「ケア」と、プロの治療と
毎日愛犬の健康チェックと「ケア」をするのは、犬の様子がいつもと違うときに、いち早く気づけるようにすることも目的のひとつです。毎日「ケア」をしていても、愛犬の異常に気づかなかったり、様子が変だと感じても放置してしまったりしては意味がありません。また、耳掃除や不必要な毛のカットなどは、専門的な技術を持たない人が自己流で行うと愛犬の健康を損なってしまう可能性も。無理に自分でやろうとしないで、気になったことは獣医師やトリマーに委ねることも、時には重要です。
普段の生活でできる、愛犬へのケア方法
目とそのまわり
両手で目を開き、まわりに汚れや目やにがついていないか、目の色がおかしくないかなどを見ます。特に、ドロッと黄色い目やにがついていた場合はなんらかの病気にかかっている可能性も考えられるので、自分で取ろうとしないで獣医師に診せに行きましょう
鼻
鼻水が出ていたら、拭き取りましょう。また、鼻の皮膚がひび割れていたり、かさぶたや傷がないかも確認を
口の中
歯並びにも個性アリ?
ハスキーやボーダー・コリーなど、マズル(鼻口部)がスカル(頭蓋骨)より長い「長頭種」と、フレンチ・ブルドッグやシー・ズーなどの、マズルがスカルより短い「短頭種」では、歯並びが違います。歯磨きの方法は同じですが、短頭種のほうが歯がぎっしり詰まっている傾向があるので、ケアの際は丁寧に行うことを心がけましょう
口のへりをめくるようにして、歯の様子を見ます。人と比べて犬は歯垢がつきやすく、そのあと歯石になりやすい傾向があります。いつもより口臭が強いなど、心配な場合は動物病院へ診せに行くようにしましょう
奥歯の方も忘れずに歯磨きを。表面の歯だけでなく、裏側や歯茎とのさかいめなどもキレイに掃除することを心がけて
耳の中
耳をめくって、中に汚れがついていないか確認し、もし汚れているようなら、ぬれたタオルなどで見えている部分を拭きます。また、汚れを耳の奥に追いやったり、耳の中を傷つけたりしてしまう可能性があるので耳かきや綿棒は控え、気になるようなら動物病院などでお願いしましょう
立ち耳は蒸れにくい?
三浦先生によると、立ち耳は垂れ耳と比べて風通しがよく、耳の中が蒸れにくい傾向があるそう。体質にもよりますが、蒸れることによって病気になることもあるので、愛犬が垂れ耳の飼い主さんは、特に注意しましょう
被毛・皮膚
被毛は、愛犬の体調をよく表し、ツヤが悪いときは体調が悪い可能性もあります。栄養状態の偏りや病気などの原因が考えられるので、早めに獣医師の診断を受けるのがよいでしょう。また、皮膚に関しても湿疹ができていないかなど、被毛と一緒にチェックをしましょう
お尻
しっぽをめくって肛門まわりをチェック。排泄物が残っていないかなど、基本的には清潔に保っておくことが重要です
肉球
肉球が傷ついていないかをまずチェックします。そのほかで重要なのは、肉球の間から生えている長めの毛。伸ばしたままにしておくとフローリングなどで滑ってしまうことも。見つけたときには、トリマーにカットしてもらうなどしましょう
爪
愛犬の爪をチェックするときは、まず両足の甲を親指で押さえ、肉球を軽く押します
すると、愛犬の指が開き、爪がニュッと現れます。傷んでいたり、割れていたりすると、それも歩き方に影響が出てしまうので、毎日確認しましょう
三浦先生のNGチェック!
愛犬が「ケア」を嫌がっていたら…?
愛犬が「ケア」を嫌がって吠えたり、暴れたりしたとき、なだめようとして体をなでるのは有効です。しかし、なでるペースが早いと逆効果になることも。実は体をなでる手の早さと、犬の感情は連動することが多く、興奮状態のときにセカセカせわしなくなでられると、犬は「おとなしくしなくてもいいんだ」と考え、なかなか気持ちを静めてくれません。興奮状態のときほどゆっくりなでて、気持ちを落ち着かせてから「ケア」をしましょう。
激しい手の動きでなでられると、犬は自分の行動を「肯定」されたと捉えます
ゆっくりなでられることで、感情が静まっていきます
ケア編+αの豆知識
子犬は歯と爪が重要
成長に悪影響を与えないように
犬の歯は、生後1年ほどですべて生え替わることがほとんどですが、まれに1~2本残ってしまうケースもあります。そのまま抜けずに新しい歯が生えてきてしまうと、歯並びが悪くなり、そこから汚れもつきやすくなる可能性が高くなります。もし、生え替わらなかった歯があった場合、動物病院で診てもらうといいでしょう。また、子犬のときは爪がやわらかく、削れたり、割れたりしやすい状態です。傷んだ爪を放置していると、その後、成長していく中で歩き方に悪影響を及ぼす可能性もあるので、こちらもこまめにチェックするようにしましょう。
口のふちをめくられることに慣れてもらうためにも、歯のチェックはできるかぎり毎日行いましょう
爪のケアも忘れずに。爪切りなどを自分で行うのが難しい場合は、動物病院やトリミングサロンなどでやってもらうとよいでしょう
老化のサインに気を配ろう
シニア犬に明確な定義はない?
「犬の老化現象は、早ければ7才頃から始まるともいわれていますが、個体によって差があるので、明確に年齢で定義するのは難しいですね」と、三浦先生。そんな中、愛犬の老化を判断するには、犬から出されている「サイン」を見つけることが重要だと言います。「見た目には、口や鼻のまわりに白い毛が生えてきたり、猫背になってきたりします。行動では、動くのを面倒くさがる場面が増えてきますね」。
昔はごはんの時間に走って駆け寄ってきていたのが、なかなか寄りつかなくなるなど、しぐさからも老化のサインが見てとれるようになるそう。「こうした変化を感じとるためにも、毎日のケアは重要ですね」と、三浦先生は語ります。
企画&構成/SOULWORK
撮影/秋馬ユタカ
取材&文/高橋健太
イラスト/田代耕一
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