【獣医師監修】犬に魚を与えても大丈夫? 魚のメリットと注意点について

犬はもともとオオカミを祖先に持っている動物なので、どうしても肉食というイメージが強いと思います。しかし、同じ動物性たんぱく質が含まれている魚も食べます。そこで今回は、犬と魚について解説していきます。

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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

犬は魚を食べても大丈夫

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犬は、もともと肉食でしたが、人間との共同生活をしていく中で雑食性の動物になりました。とくに日本は海が多い地域なので、犬は古くから魚を食べていたようです。日本以外に目を向けると、北米やヨーロッパではサーモンを与えている地域もあります。実際、ドッグフードやおやつには魚を主成分とする商品も多く、犬も抵抗感なく魚を受け入れてくれます。

魚には良質なたんぱく質とビタミン・ミネラルが豊富に含まれているので、犬の健康にとっても良いと考えられています。

魚に含まれる栄養素

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それでは、魚に含まれている具体的な栄養素をみていきましょう。

たんぱく質

魚のたんぱく質は、肉よりも体内で消化されやすいという特徴を持っています。また、体内にある不要な塩分を排出してくれる働きがあるので、高血圧の予防にも効果的といわれています。

カルシウム

魚には、多くのカルシウムが含まれています。カルシウムを摂取すると、歯や骨の強化になりますし、ストレス解消の効果もあります。また、病原菌に対する抵抗力を高める効果もあります。

DHA(ドコサヘキサエン酸)

DHAは、いわゆる青魚に多く含まれています。脳の働きを活発にし、学習能力・記憶力を高めてくれます。犬に対しては、高齢犬の認知症予防に効果があるといわれています。

タウリン

目の疲労の回復に役立ち、血管をきれいにしてくれます。

EPA(エイコサペンタエン酸)

EPAは、血流を悪くするコレステロールや脂肪分を減らす効果があるので、動脈硬化や心筋梗塞などの予防に効果的といわれています。また、DHAと同様に、高齢犬の認知症予防にも効果があると期待されています。

犬に魚を与える時の注意点

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それでは、犬に魚を与える時には、どのような点に気をつければよいのでしょうか。基本的には、人間が生のまま食べても大丈夫なように処理されている刺身用の魚は、犬にも生で与えて問題ありません。しかも生魚には、加熱すると壊れてしまう栄養素を摂取できるというメリットもあります。しかし、注意したいのは寄生虫です。心配な場合は、念のため加熱してから与えた方がよいでしょう。

では、焼き魚や干物はどうでしょうか。人間用に味付けされたものは、犬にとって塩分が強すぎるので、味がついているものは与えない方がよいでしょう。与えすぎると、高血圧のリスクが高くなってしまいます。

また、魚はアレルギーを起こしにくい食べ物ですが、初めて与える時には少量ずつにして様子を見ましょう。とくに問題がなければよいですが、下痢や嘔吐の症状がみられたり、明らかに体調が悪そうな時は与えるのを中断しましょう。

犬にとっても重要な栄養素が含まれている魚ですが、過剰摂取させると黄色脂肪症という病気になることがあります。この病気は、魚に含まれるDHAやEPAなどに代表される「多価不飽和脂肪酸」と呼ばれる栄養素の過剰摂取により、体内のビタミンEが不足してしまうことが原因で起こります。

症状として、発熱、食欲の低下、全身の痛み、お腹や足の付け根の脂肪の硬化などが挙げられます。この黄色脂肪症は、魚が主食だった猫に多い病気でしたが、キャットフードが普及したことで最近はあまりみられなくなりました。

このように、魚は犬が食べてもよい食品です。与え方を間違わずに健康状態の向上に役立てましょう。ただし、与えすぎにはくれぐれも注意してください。

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