【猫びより】【ニッポン猫旅】琵琶湖 水辺に生きる猫たち(辰巳出版)
日本最大の湖・琵琶湖。南北63km、東西22kmを超える湖の景観は変化に富み、その畔ほとりでは土地に根ざして生きる多くの猫たちに出会える。(猫びより 2020年5月号 Vol.111より)
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晴天の日、波の少ない穏やかな湖面が青く染まり、釣り人から頂戴したお魚でお腹いっぱになった猫達が美味しそうに湖の水を飲んでいる。
琵琶湖の内湖の一つで、びわ湖真珠の養殖場。「水ならいくらでもある」と猫も言いそう(草津市)
一本道を挟んだ田圃から、よく似た模様の仲良し2匹がぴったりと寄りそいながら歩いてきた。何かの拍子にカエルが一斉に鳴き始める。ゲコゲコ。ニャーニャーの大合唱。
いつも一緒のモノクロコンビ。あぜ道をぴったり寄り添いながら歩きます(草津市)
競走馬を預かる牧場で暮らす猫。牧場内を自由に闊歩しています(甲賀市)
滋賀に生活の拠点を移して5年になる。滋賀県は日本最大の湖である琵琶湖を有し湖国とも呼ばれ、四方に山が連なり、水と自然に恵まれたのどかな土地。今日はどこへ撮影に行こう。空のご機嫌を伺いながら、馴染みの猫の顔が思い浮かぶ。琵琶湖をぐるり一周、猫を探す旅に出かけようか。
遊覧船を見送るボス猫。性格は穏やかでみんなの人気者(大津市)
先ずは猫様を拝んでから、お参りです(大津市)
琵琶湖は湖の幸が豊かなところで、湖の周囲にはいくつもの漁港が点在している。
湖北地区のとても静かな漁港。船の上は遊び場のようです(高島市)
車を走らせながら見える田園風景と琵琶湖の光景を眺めながら、港々の猫に会いに行く。淡水湖に浮かぶ国内唯一の有人島である沖島は猫島としても有名。時間があれば是非とも足を運んでほしい。
とても静かでゆっくりとした時間が流れるこの島には車がなく、白猫の親子が無防備に道の真ん中でお昼寝していた。母猫が港に向かって歩き始める。子猫たちも続いて母猫の後を追いかける。
沖島の白猫ファミリー。湖面に浮かぶお魚に興味津々(近江八幡市)
母猫は湖面に浮かぶ魚を狙っているようだ。子猫が水に落ちてしまわないか心配になったが、母猫が付いているから大丈夫だろう。お母さんから沢山学んで、いつか上手にお魚を捕まえられる日が来るといいね。
夕方の漁港。お腹もいっぱいになったし、尻尾じゃらしでご機嫌です(近江八幡市)
比叡の山並の向こうに落ちてゆく太陽、そして猫の瞳のような月が姿を見せた。琵琶湖は空を反映して湖の色も夜の深いブルーへと変わっていく。静かに一日が終わる。今日も沢山の猫に会えた。
身体は大きいけど、気が小さい茶トラ君。陽が落ち、猫も人もまばらになると活動開始です(大津市)
家路に着く前にもうひとつ寄りたい場所がある。大津市にお店を構える猫のいるカフェ「びびのば」。思わず「ただいま」と言ってしまいたくなる居心地の良いカフェ。一日の終わりに心地よい音楽を聴きながら、マスターの作るオムライスに美味しいコーヒーをいただく。
Cafe ViVi.Noba(びびのば)にて。レトロなカフェに看板猫7匹がいます(大津市)
看板猫のビビ社長が、気まぐれでお膝の上に乗ってきてくれた。白い背中を撫でながら、平和な時間が流れていく。のんびり、ゆったり。琵琶湖と猫と私はそんな感じ。
Doi Miho
写真家。1971年北海道生まれ。
小樽の漁港にすむ野良猫たちの、健気にたくましく生きる姿をとらえた写真で、日本写真家協会主催2016JPS展文部科学大臣賞、第65回ニッコールフォトコンテスト大賞(モノクロームの部)を受賞。
2018年、写真集『北に生きる猫』(河出書房新社)刊行、2019年にはニコンプラザ大阪 THE GALLERYで個展『北緯43度』を開催。
Instagram : @mihodoicat
写真・文・土肥美帆