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最期の瞬間も、その先も君をずっと、愛してる

最期の瞬間も、その先も君をずっと、愛してる

愛犬と暮らしていると、いつか必ずやってくる見送りのとき。想像するのもつらいけれど、そのときが来たら、後悔のないように君を送り出してあげたい。そう願う飼い主さんのために、愛犬が旅立つ日に向けた準備や心構えをご紹介します。(MY♡DOG Autumn 2020 Vol.4より)

  • サムネイル: MY♡DOG編集部
  • 更新日:

教えてくれる人

三浦裕子先生


三浦裕子先生
東京都江戸川区の「ペットケアサービスLet’s」の代表。食事や行動学など、幅広い知識に基づいたケアで、愛犬と飼い主さんの豊かな生活のサポートに尽力しています

ペットケアサービスLet's
東京都江戸川区中葛西2-19-13
03-3675-0250

【変化に気づいて、適切な対応を】後期シニアの愛犬に私ができること

年齢を重ね、肉体的な衰えが見えてくるシニア犬。今までできていたことができなくなり、戸惑いを感じる飼い主さんも多いはず。今回は、後期シニアに差し掛かった愛犬の変化と、その対応法をドッグトレーナーの三浦裕子先生から伺いました。

もしも水が飲めなくなったら

もしも水が飲めなくなったら

三浦先生によると、一日にあげる水分の目安は愛犬の体重×50~70mlほど。例えば10㎏の犬だったら500~700mlという計算です。あらかじめその分を用意しておくと飲ませ忘れを防止できます。愛犬がむせてしまわないよう、上唇を少し上げて歯茎にそっとかけてあげましょう

「飲みたいのに、飲めない」を理解して

「シニア犬は、脱水症状になることが多いように思います」と言うのは、三浦先生。年を重ねた犬は、口まわりの筋肉が硬くなって開かなかったり、肩こりがひどくて器に顔を近づけられなかったりといったことが原因で、自分で水分をとりにくくなる傾向があると言います。そのような姿が見られたら、口が開きやすくなるよう顔をほぐしたり、料理で使うドレッシングボトルなどに水を入れ、口に注いであげるなどして、飲ませましょう。

歯周病予防も意識して

三浦裕子先生


シニア犬は歯周病のリスクが高くなりがち。そのままにしていると食事に支障をきたしたり、体のほかの部分まで不調を引き起こすおそれがあります。歯磨きが理想的ですが、もしも飼い主さんにその経験がないようなら、お水をあげる際に使ったドレッシングボトルで食べかすを洗い流すのも手段のひとつです。

もしも歩けなくなったら

もしも歩けなくなったら

ベッドの硬さを工夫することに加えて、関節を温めるなどのケアも忘れずに

体がこわばらないよう工夫する

愛犬が自分で体を起こしたり、歩くことが困難になったりと、いわゆる寝たきりの状態になったら、ベッドの硬さに注意が必要。やわらかすぎると、体が沈み込んで身動きがとりにくくなり、下になっている肩や腰に負担がかかります。「高反発の介護用マットレスがおすすめですね」と、三浦先生。体が沈み込まないため、愛犬が自分で体を動かしたり、飼い主さんが体勢を変えてあげるときにも役立ちます。

もしも目が見えなくなってきたら

もしも目が見えなくなってきたら

白内障が進んだシニア犬の視界はモヤがかかったように曇り、明るさだけが判断できる状態になります。ほとんど見えていないと認識し、それに応じた工夫をしましょう

ケガと猫背にご用心

視力が落ちてきたシニア犬は、壁や障害物によくぶつかるようになります。家具の角に目が当たるなどのトラブルを防ぐため、エリザベスカラーなどで愛犬の顔のまわりを守ることが有効です。また、犬は目が見えなくなるとにおいを頼りに動くことが多くなり、猫背気味に。この状態は、前足に負担がかかり、後ろ足に体重を乗せなくなるので筋肉が衰える原因になります。おやつを目の高さで掲げるなどして、顔を上げさせるようにしましょう。

【悲しすぎるけど、やらなければならないこと】旅立つ愛犬の見送り方

【想像するのはつらいけれど大事なことです】
いつかはやってくる旅立ちのとき。考えるのはつらいけれど、愛犬を見送る瞬間や、その後の生活を心安らかに過ごせるよう、準備を進めていくことが重要です。引き続き、三浦先生に旅立つ愛犬を見送るまでの過ごし方を伺いました。

相談できる人を探しておこう

相談できる人を探しておこう

愛犬のことをよく知る友人に、話を聞いてもらうだけでも、愛犬が旅立ったあとの心持ちが変わります

獣医師や信頼できる友人に相談を

「見送りのときが見えてきたら、ひとりで抱え込まないことが大事です」と、三浦先生。「獣医師や信頼できる犬友達などに相談しましょう」と、言います。ひとりで悩むと、愛犬のためにとった行動に自信が持てず、「ああすればよかったのかも」という思考に偏りがち。ペットロスの原因になるとも言われています。しかし、誰かに相談したうえで選択することで自分の決断に納得ができ、後悔せずに過ごせると三浦先生は語ります。

相談相手は、誰を選ぶ?

三浦裕子先生


愛犬の旅立ちについて相談するときに、考えるべきなのは相談相手。本来は獣医師などが適任ですが、家族や友人ならば、自分の知識を押しつけずに、中立な立場で話をしてくれる人を選ぶとよいでしょう。数人に話をすることで、自分に合ったメッセージをくれる人がいるはずです。

「その日」のことを想像しよう

病院でみとることを考えている場合


病院でみとることを考えている場合

愛犬を見送るタイミングがどの時間帯になっても大丈夫なように、24時間受け入れをしている病院を探しておきましょう。かかりつけの獣医師がいる場合は、見送りの日の心構えも聞くことができるので、あらかじめ相談しておくのも大事です。また、病院までの移動手段なども考慮しておく必要があります。

家でみとることを考えている場合


家でみとることを考えている場合

愛犬が旅立つとき、誰がそばにいられるか確認を。基本的にはベッドに寝かせるだけでOKですが、亡くなった直後に体液が出るので、ペットシーツを敷くとよいでしょう。病院などで処置してもらうこともできます。火葬をする場合には葬儀社の連絡先やそこまでの移動方法なども決めておくことが重要です。

旅立ちの日には「ありがとう」で見送りを

旅立ちの日には「ありがとう」で見送りを


愛犬にもきっと気持ちが伝わる

「何をするときにも愛犬に『ありがとう』と伝えることが、飼い主さんの心のケアにもなるんです」と、三浦先生。旅立ちが近づくと、飼い主さんもネガティブなメンタルになりがち。特に「ごめんね」という言葉は後悔につながりペットロスの原因にも。「お水を飲んでくれてありがとう」「体に触れさせてくれてありがとう」と、日頃の何気ない瞬間から感謝を伝える習慣をつくり、旅立ちの日には「一緒にいてくれて、ありがとう」という言葉で見送ってあげましょう。

三浦裕子先生


「ありがとう」はワンちゃんも言われてうれしいはず!

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【ネガティブ発言は絶対NG!】愛犬を失った犬友達にできること

親しい友人の愛犬が亡くなったと耳にした。心配だけれど、どう声をかけていいかわからない。そんなとき、友人の心に寄り添って話を聞くために押さえておくべきポイントがあります。聞く側もしっかり心構えをして、愛犬を見送った友人と接するようにしましょう。

愛犬にしていたことを、ほめてあげて

愛犬にしていたことを、ほめてあげて

愛犬のことをよく知る友人に、話を聞いてもらうだけでも、見送りのあとの心持ちが変わります

前向きな言葉を意識する

大前提として、飼い主さんの選択肢を否定せず、すべて肯定してあげることが大事です。「一番いいのは、そのコの思い出話ですね。お通夜のときに故人との思い出を振り返るように、ワンちゃんとの楽しい思い出を話すと飼い主さんの気持ちもほぐれると思います」と、三浦先生。また、旅立ちの前に話を聞くときにも中立な立場を守ることが重要です。飼い主さんが後悔しないよう、とろうとしている行動を尊重するよう心がけましょう。

気をつけて! NGワード

三浦裕子先生


愛犬を見送った事実に対して「かわいそう」という言葉は禁句です。飼い主さんは、一生懸命お世話して、愛犬が少しでもできたことをほめてあげるよう努めています。その気持ちを想像すれば、「かわいそう」とは言えないはず。また、「●●してあげればよかった」「知ってる獣医師を教えたのに」というような、新たな情報の更新もNGです。

お悔やみのマナーを知ろう

お悔やみのマナーを知ろう


どんなタイミングで声をかける?

人の葬儀とは異なり、犬のお悔やみには特に決まった作法はありません。そのため、愛犬が亡くなったというお知らせが届いたら、早めに言葉をかけてあげるとよいでしょう。また、遅くなったとしてもお悔やみの言葉を伝えることは大事です。ただし、飼い主さん自身の気持ちの整理がついているかをくみ取ることは必要で、「そっとしておいてほしい」という旨があった場合には、落ち着いた頃にあらためて連絡を入れるようにしましょう。

飼い主さんへの贈り物は

「何か贈り物をしたい」と考えたとき、亡くなった犬に捧げる思いも込めて花を贈るのがよいでしょう。こちらも特に決まった作法があるわけではないので、飼い主さんが好きな花や、生前の犬のイメージに合うような色合いの花を選ぶと喜ばれます。また、送る際の宛名は「飼い主の名前+犬の名前」が一般的ですが、それとは別に、犬に対してしたためた手紙を添えるという形でも大丈夫。飼い主さんの心が和むような内容を心がけて。

お悔やみはどのような言葉をかける?

例えば、「一緒に遊んだ時間は、私にとっても幸せな時間でした」「賢くて、とてもいいコでしたね」と、思い出や気持ちを共有できる言葉がよいでしょう。逆に、「かわいそう」「苦しかったでしょうね」といった、亡くなった犬の死の苦しみに同調するような言葉は避けるべき。また、SNS上でお悔やみを伝える際には、絵文字やスタンプで悲しい雰囲気を払拭しようとするのではなく、心をこめた言葉を真摯に伝えることを重視しましょう。

【乗り越える必要なんてありません】ペットロスと向かい合う

いくら準備をしていても、いくら心構えをしていても、愛犬が旅立ったあと、心に残る寂しさや悲しさ。そういった気持ちは、乗り越える必要なんてありません。愛犬が旅立った事実と、いなくなったあとの暮らしを、時間をかけて受け入れていくことが大事なのです。今回は、読者の皆さんが愛犬が旅立った「そのとき」にどう向き合ったのかを伺いました。

M.Sさん

ウチのコが亡くなる前、「●●ちゃんは、幸せだからきっと長生きするよ」と周囲の人から声をかけてもらったことがとてもうれしかったです。
愛犬が亡くなったとき、多くの飼い主さんが「亡くなったあのコに代わるコなんていない!」と、考えがちになるかと思います。でも、私は犬がとても好きなので、先に天国へ行ったあのコのためにも、もし、これから縁があったならば、新たなワンちゃんを迎え入れて力いっぱい愛してあげよう! と、前向きに心の整理をしています

ペットロスと向かい合う


Y.Yさん

ウチのコは病気で亡くなったのですが、闘病中にも「一生懸命に毎日を過ごす姿が愛(いと)おしい」「お散歩で会わないと、心配しちゃう」と、家族以外の方がやさしく接してくれたことがうれしかったです。
それでも、亡くなったあとには寂しさや悲しみが止まることなく押し寄せてきました。感情に逆らわず、泣きたいときには泣き、眠れないときには想いを巡らせ、偲(しのぶ)ようにしていました。私は、それが供養だと思うんです。
また、そういったときも支えになったのはまわりの方々の言葉です。「おうちのコになれて、感謝していると思う」「姿はなくても、いつも一緒だからね」と、私たちの気持ちをくんだ言葉をくださったことがうれしかったですね

ペットロスと向かい合う


S.Hさん

見送りをしたあとは、亡くなったことに対して「犬がかわいそうだった」と、自分を責めないように心がけていました。
生きている間は、自分の子供のようにたくさん愛情を注ぐことができたし、毎週お出かけして、楽しい思い出をつくることができました。そういった幸せな日々を一緒に過ごしてくれて「ありがとう」と、感謝の気持ちでいっぱいです。
今でも、思い出すと涙が出てきちゃうんですけどね。
周囲の犬友から「きっと、あなたの家に来たことが、あのコの幸せだったんだよ」と言ってもらえたり、「お星さまになった」と、私の心に寄り添った言葉をかけてもらえたのは救いになって、今でも支えになっています

ペットロスと向かい合う


Y.Iさん

かなりの高齢になるまで頑張って生きていたウチのコに対して、亡くなったあと、担当してくれた獣医師の先生がかけてくれた言葉を覚えています。
「あのコは、本当に頑張っていたよ。何度も復活したしね。本当にすごいコだよ」
普段、あんまり感情を出さない先生が、ぼそっと言った一言でした。なんだか、一生懸命生涯を全うしたわがコが誇らしくて、とても嬉しかったですね。
また、私はシニア犬って、若い頃とはまた違うかわいさがあると思うんです。生前も「かわいすぎる、天使だね」と、その気持ちに共感してくれる友人がいて、それが支えにもなっていました。そういうこともあり、「いつか必ず別れの日は来る」と心構えをして、わがコとの日々を一日一日、大切に過ごすことができたと思います。亡くなったことは、もちろん悲しかったです。でも、先に別れを受け入れていたので、ペットロスにはなっていません

ペットロスと向かい合う


H.Yさん

私は、以前一緒に暮らしていた犬が亡くなってから、長い間ペットロスが続いていました。そのコはポメラニアンで、1カ月くらい介護状態になり、散歩をするときにもやっとの思いで歩いているような状態でした。毎日、体調が変化する中で、一歩ずつ、一歩ずつ歩いている姿が目に焼きついています。
今一緒に暮らしている犬を受け入れて、ようやく心の穴が埋まったような気がしています

ペットロスと向かい合う


I.Tさん

ウチのコは、夫が急死した4カ月後、あとを追うように旅立っていきました。生前は夫とウチのコと一緒にいろいろな場所を旅していたので、それらの場所をあらためて訪ねて回ってみたんです。
すると、旅先でたくさんの思い出がよみがえってきて、私の心の中にふたりがずっといることに気づきました。なんだか、とても気持ちが軽くなりましたね。
また、夫は生前、海洋散骨を希望していたのですが、業者の方が愛犬の散骨も気持ちよく引き受けてくださり、家から見える、湘南の海に一緒に散骨しました。ふたりの遺骨はまだ少し残しているので、今、暮らしている犬が先に旅立ったら、一緒に散骨を。
もちろん、私が亡くなったときにも同じように散骨してもらうつもりです。こうすることで、またみんなでいろいろな場所を旅することができます。そう考えることで、前向きな気持ちで生きていくことができます

犬の十戒より

犬の十戒より


犬の十戒より


―和訳―
最期の旅立ちのときには、そばにいて私を見送ってください。
「見ているのがつらいから」とか
「私のいないところで逝かせてあげて」なんて言わないでほしいのです。
あなたがそばにいてくれるだけで、
私はどんなことでも安らかに受け入れられます。
そして……どうか忘れないでください。
私があなたを愛していることを。

※halcyon.daysさんのイラストは、虹の橋を渡った愛犬を想って描かれていたものを編集部が今回の特集の為にお借りしました

企画&構成/SOULWORK
取材&文/高橋健太
イラスト/小笠原 徹、halcyon.days

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