【獣医師監修】猫のご飯、どうやって与えればいいの? 理想的な与え方
猫の寿命はご飯の選び方で延ばせる!? 愛猫だからこそ、毎日のご飯は厳選したいもの。可愛い子の寿命を決めるのは、やっぱり飼い主です。
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長
知っておきたいご飯の与え方
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猫は魚が好物だと思っていませんか? 実際は肉の方をより好む動物です。ただ、注意したいのは生肉です。とくに豚肉は寄生虫がいる可能性があるので、必ず加熱してから与えます。鶏の骨、とくに火を通したものは鋭利になりやすく、消化管を傷つける恐れがあるため与えてはいけません。レバーの過剰摂取は、骨の変形などを引き起こすこともあります。一方、サンマやイワシなどの青魚だけを食べ続けることは、黄色脂肪症の原因になります。何事も適量が大切です。基本的に栄養は高タンパク、高脂肪の肉食系の食事から摂るのが理想です。
すべての猫にとって大切なのは、栄養バランスの良いご飯です。加齢によって必要な栄養素やカロリーが変化します。重要なことは、それぞれのライフステージに合った餌を、個体、運動、体調に合わせて給与量を調整することです。切り替える時期を感じたら、これまで食べていた餌に少しずつ次のステージの餌を混ぜ、1~2週間かけて徐々に切り替えていきます。ご飯皿は食べる時にヒゲが当たらない大きさで、浅めの形がいいでしょう。
猫は本来、単独で1日に何度も狩りをして、少量ずつ、複数回に分けて食べる習性があります。飼い猫の場合、食事の回数を決めず猫まかせにしてしまうと、肥満の原因になります。そのため、飼い主が食事の回数や量を管理することが大事です。
仔猫は消化機能が未熟なため、ご飯の回数を増やしたりしますが、成猫になる頃には、朝・晩2回、毎日同じ時間に与えるのが基本です。1日1食の場合は、空腹で過ごす時間が長くなるため、食事の際に急いで食べて食後に吐いたり、一度にたくさん食べると、消化不良を起こす場合があります。
高齢猫では、食事の際に、首や背中の関節にかかる負担を軽減するため、台などを利用して、ご飯皿を適度な高さにしてあげるといいでしょう。食道の筋力の低下で吐き戻しが増えた猫の場合も、ご飯皿の高さを変えてあげることで、食欲増進の効果が期待できます。
猫はおいしさを匂いで判定し、食べにくい形、固いものはちょっと苦手です。苦味には敏感で、肉に含まれる旨味を感じることができる一方、塩味と甘味には鈍感です。
病気にならないためのご飯の選び方
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与えてはいけないものを知ることも大切です。
ネギ類には、猫の赤血球を破壊する成分が含まれています。加熱しても分解されないので、決して与えてはいけません。塩分の過剰摂取については、塩分の排出が得意ではないため、心臓、そして多くの猫が苦しむ腎臓疾患の原因になります。手作りご飯を与えたいときは、味付けに気をつけましょう。人間にとっては薄味でも、猫にとっては塩分が多すぎることがあります。
嗜好性の高いキャットフードでは、香料が添加されていたり、味付けが濃く、カロリーの高いものがあるので要注意。おすすめしたいのは、「総合栄養食」と表示のあるキャットフードです。毎日の主食として与えることを目的としたこのフードと、猫の体にとって宝とも言える水を与えるだけで、健康を維持できるバランスのとれたご飯になります。また、「間食」に分類されるキャットフードは、しつけやご褒美などの目的で利用すれば、飼い主とのコミュニケーションにも役立ちます。また、獣医師から病気の治療や維持として食事療法の指導を受けている場合は、指定された療法食を与えましょう。
ご飯こそが健康寿命の源
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猫は餌の好き嫌いが激しい、といわれています。偏食をさせないためには、仔猫の頃から好きな餌ばかりを与えないことです。すでに癖がついてしまった成猫も、時間はかかりますが、食生活を変えるために、栄養バランスを考えたご飯を根気強く与え続けることが大切です。最初は好きな餌を多めにし、少しずつ比率を減らしていく工夫をします。
家族だからこそ、猫の「ちょっとした変化」に気づくことができます。病気ではないのにご飯を食べない時は、何か原因があるかもしれません。生活環境に変化があった場合は、静かで落ち着いた場所で食事を与えたり、季節によって室内の空調の環境を整えたり、できる限り、猫の気持ちに寄り添ってみることです。
自由気ままといわれる猫ですが、毎日おいしいご飯を楽しみながら、一緒に大切な時間を過ごしたいものです。