【獣医師監修】犬が合図をしたら戻ってくる「おいで」のしつけ方について

犬のしつけといえば、「お手」「伏せ」などが一般的ですが、ぜひ教えておきたいしつけが「おいで」です。この「おいで」を覚えさせることができれば、日常生活の様々な場面で役に立ちます。そこで今回は、犬の「おいで」について解説していきます。

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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長

犬に「おいで」を教える重要性

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たとえば、散歩中のことです。飼い主の手からリードが離れてしまい、犬が自由気ままに走り出そうとした時。「おいで」のしつけができていると、車が走っている道路に飛び出したり、遠くまで走っていって迷子になったりすることなく、犬は飼い主の元に戻ってきます。このような万が一の時に役立つのが、「おいで」です。

飼い主によっては、「おいで」ではなく「来い」「カム」といったコマンド(指示・命令に使う言葉)や、犬の名前などでこのしつけを行っているようです。使用する言葉に関わらず、犬を呼び戻すためのしつけを「呼び戻し」と呼びます。

犬に呼び戻しを教える際に大切なのは、家族間で言葉を統一しておくことです。たとえば「おいで」でしつけをした場合、「来い」と呼んでも犬は反応しません。ですので、呼び戻しを教える際はひとつの言葉に統一し、犬が混乱しないようにしましょう。

また、犬は声のトーンを用いてコミュニケーションをとる動物です。たとえば、犬が低い声で吠えている時は攻撃的な意味があり、反対に高い声で吠えている時は友好的な感情を伝えようとしています。言葉を持たない犬は、このトーンの変化により、相手に自分の気持ちを伝えようとするのです。

これは、飼い主側から犬への声掛けでも同様です。飼い主の声のトーンによって、同じ言葉を発したとしても犬への伝わり方は変わります。もし、「おいで」の呼びかけが楽しそうなトーンであれば、犬は「何か楽しいことがあるのかも」と思って駆け寄ってくるかもしれません。

犬のしつけを始める前に

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呼び戻しに限らず、犬のしつけをするためには、犬と飼い主の間にしっかりとした信頼関係が構築されている必要があります。では、どうすれば犬は飼い主を信頼してくれるのでしょうか。

犬に信頼してもらう秘訣は、飼い主が犬にとって魅力的なパートナーになることです。犬にとっての魅力的なパートナーとは、ずばりブレない人です。同じことをしても褒めてくれる時もあればそうじゃない時もあったり、いつもはダメといわれていることが飼い主の都合で許可されたり…そうした一貫性のない行動は犬を混乱させます。一つのルールを決めたら、それを飼い主都合で変えないことが大切です。

また、犬をしつける際には、おやつを活用するのもおすすめです。ご褒美としておやつを与えることで、飼い主にとって好ましい行動をしてもらう手助けになります。

犬に「おいで」をしつける方法

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犬に「おいで」を教えるための、具体的な手順を紹介します。まずは、おやつをすぐに取り出せるように準備しておきます。そして、周りが静かな場所(犬への刺激が少ない環境)で、犬が飼い主を意識していない時に「おいで」と楽しそうに呼びかけます。その呼びかけに応えて、犬が近づいてきた時は盛大に褒めておやつを与えましょう。

「おいで」の呼びかけになかなか応えない時は、犬があまり集中できていない可能性があります。少し時間を置いたり、場所を変えたりして再チャレンジしてみましょう。また、「名前を呼んだら飼い主の顔を見る」ということがまだできていないようであれば、そちらの練習から入ることもおすすめです。

静かな環境下で「おいで」に応えられるようになったら、ドッグランなどで遊んでいる時に試してみましょう。どんな状況でも、「おいで」の一言で飼い主の元に戻ってこられるようになれば、しつけはしっかりできていると考えてよいでしょう。

ただし、しつけの最中はもちろん、「おいで」のしつけが完璧にできている犬であっても、ノーリードが許されていない公園や公道でリードを外すのは厳禁です。また、ロングリード(伸縮式リード)は周囲の人や物に引っかかってしまったり、犬が車道などに飛び出して事故に巻き込まれたりする危険があるので、使用する場合は周囲の環境を充分に確認しましょう。

このしつけがうまくいくと、「おいで!」と呼んだだけで犬は飼い主の元に戻ってくるようになります。しつけは根気がいるものですが、飛び出し事故や迷子など、万が一の危険を回避するためにも、ぜひ「おいで」を取り入れてみてください。

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