【獣医師監修】トイ・プードルに起こる退色。毛の色が変化する理由について
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【獣医師監修】トイ・プードルに起こる退色。毛の色が変化する理由について

トイ・プードルの毛色は様々で、毛色によって性格も異なるといわれています。しかし、その毛色も退色により変化していくことがあります。トイ・プードルの毛色の退色は、なぜ起こるのでしょうか。

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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

トイ・プードルの退色の原因

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トイ・プードルの毛色は、メラニン色素で決まります。メラニンは、紫外線を吸収して色素を作るだけでなく、皮膚細胞を紫外線による炎症から守る役割を果たします。そのメラニンには、ユーメラニン(黒)とフェオメラニン(だいだい~赤)の2種類があり、この比率によって毛色が決まります。

メラニンの合成には、チロシンとフェニルアラニンというアミノ酸が必要で、チロシンを摂取することで、トイ・プードルの体内で化学変化が起こり、メラニンが作られます。そのため、これらの栄養素が足りていないと、被毛が退色するほか、毛づやが悪くなることもあります。また、ミネラルが不足した時にも同様の現象がみられる場合があります。

つまり、トイ・プードルの退色予防としては、バランス良く栄養素が配合されたドッグフードを与えることが重要になります。チロシンは、肉や魚、卵、乳製品や大豆製品に多く含まれているので、これらの栄養素が入っているおやつを食べさせると効果的です。

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ほかにも、トイ・プードルは年を重ねるごとにメラニンを合成する酵素の働きが弱まるので、人間でいう白髪のように色素が抜けていき、全体的に毛色が薄くなったという印象を受けることもあります。犬の老化は顔から始まるといわれているので、目の周りの被毛やまつげ、ひげの色が変化してきた時は、シニア期に入ったといえるでしょう。

そして、人間がストレスで白髪が増えることがあるのと同様に、トイ・プードルの場合もストレスにより退色するケースがあります。また、シャンプーのしすぎやバリカンでのトリミングも退色の原因になるとされています。

トイ・プードルの退色が始まる時期

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トイ・プードルの退色が始まる時期には個体差があります。早い個体では、生後数ヶ月で退色が始まり、ゆっくりと進行していくこともあります。しかし、生後半年以内で急激に毛色が変化した場合には注意が必要で、退色ではなく、毛色の発現という真逆の現象である可能性があります。トイ・プードルは、遺伝子的にはAという毛色になるはずなのに、生まれた時の毛色がBに見えることがあります。その毛色が、成長するにしたがって本来のAの毛色に変化していく現象が、毛色の発現です。

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トイ・プードルの退色は、1歳過ぎから2~3歳くらいまでの期間にピークを迎えるといわれています。この時期を越えると、その後の退色は緩やかに進行していきます。

トイ・プードルの退色しやすい毛色

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トイ・プードルの性質として、シニア期に突入する前に退色が始まることが多く、ホワイト以外のトイ・プードルは、基本的にこの退色が起こると考えてよいでしょう。

とくに、以下の毛色のトイ・プードルは、退色により異なる毛色に変化することがあります。

● レッド→アプリコット
● アプリコット→クリーム
● ブラウン→カフェオレ

トイ・プードルの退色は、避けられるものではありません。しかし、ストレスやシャンプーのしすぎなど、飼い主側で予防できる部分もあります。自然現象による退色を除けば、トイ・プードルの体調の変化に注意することで、進行を食い止めることができるかもしれません。

もちろん、加齢による退色には過度に反応する必要はありません。逆に、退色を楽しむくらいの余裕を持つことが重要です。自然な退色に関しては、あまり神経質にならず、トイ・プードルの毛色の変化と向き合っていきましょう。

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