【獣医師監修】猫の上手な水の飲ませ方とは? よく水を飲む時・まったく飲まない時の注意点

愛猫があまり水を飲まないと心配になることはありませんか? 病気予防のためにも、一定量の水を飲ませることは大事。上手な水の飲ませ方を紹介します。

  • サムネイル: PECO編集部
  • 更新日:

監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

水飲みの重要性

動物,犬,猫,しつけ,飼い方,育て方,病気,健康

Valentsova/Shutterstock.com

猫の祖先は中東の砂漠地帯に生息していたヤマネコと考えられています。乾燥した環境に耐えるカラダを持っているため、もともと、あまり水を飲まない動物で、少ない水分でカラダの水分を潤さなければならないため、排尿する量も少なめです。また、のどの渇きに鈍感です。水分が足りていない状態でも、水を飲まないこともよくあること。でも、猫のカラダの60~80%と大部分を水分が占めているので、猫のカラダに水分が足りなくなると、腎臓に支障をきたして様々な病気を引き起こすことになります。腎臓で尿を作り出すネフロンといわれるろ過組織が犬で左右合わせて80万個あるのに対し、猫では40万個と腎臓に負担がかかりやすい体質も持ち合わせています。猫が健康なカラダであるために、飼い主が上手に水を飲ませる必要があります。

上手な水の飲ませ方

動物,犬,猫,しつけ,飼い方,育て方,病気,健康

Pitipat Usanakornkul/Shutterstock.com

上手に水を飲ませるには、様々な方法があります。
たとえば、水飲み器の工夫です。水飲み器を変えるだけで、猫が水を飲むこともあります。器にも、陶器やガラス、金属、プラスチックなど様々あるので、いくつかのタイプを揃えてみるのもいいかもしれませんね。

また、大きい水飲み器にするのも効果的です。あまり水飲み器が小さいと、器にひげが当たってしまい、それを嫌がって水を飲まなくなる猫もいるのです。飲みやすさの観点では器の高さも大事なポイントで、ほどよい高さになるよう台や水量を調整してあげてください。

猫のお気に入りの場所や通る場所に、水飲み器を置くのもオススメ。目につきやすくすることで、水を飲みたい気分にさせるのです。そして、もし何頭か飼っているならば、それぞれ専用の器を用意してあげるという方法も。ほかの猫の匂いがするから水を飲まない、というケースも充分考えられます。

また、水自体を工夫する方法もあります。水道水だとカルキ臭いのが苦手という猫もいるので、一度お湯を沸かしてカルキ臭を消したり、魚や鶏肉のゆで汁をちょっと入れたり。塩分などの調味料は塩分過剰になるので、NGです。そして、猫は新鮮な水を好むので、まめに水を取り替えること。また、冷たい水よりも、温かい水のほうが好きなので、ぬるめでちょうど良いと思ってください。水に溶けるタイプのまたたびを水に混ぜる方法も、オススメです。1回あたり0.5gを与えるくらいで十分! 量・頻度ともに多くなりすぎないようにしましょう。

ペット用自動給水器の種類とメリット・デメリット

動物,犬,猫,しつけ,飼い方,育て方,病気,健康

Top Photo Engineer/Shutterstock.com

猫は、流水が大好き。ペット用自動給水器ならば、飼い主が蛇口をひねる必要もないし、猫にとっても嬉しいし一石二鳥ですね。水の流れを選べるもの、多頭飼い用にぴったりの複数の給水口があるもの、水量調整ができるものなど様々あるので、ニーズに合ったものを選んでください。

ペット用自動給水器のメリットは、手間がかからないことでしょう。水が少なくなると自動的に給水してくれるので、とても便利です。旅行や仕事などで留守にしがちな家庭にも、オススメ。そして、清潔な水であるのも大事なポイントですね。フィルターで水道水をろ過して水を循環させるので、水が汚れることはありません。

一方、デメリットは、電気代がかかることです。といっても、ある自動給水器だと1日中使用しても1ヶ月で約60円とリーズナブルだからさほど気になりません。音が気になるものもありますが、静音設計のものもありますよ。

理想の水量

猫が1日に必要な水分は、150~200ml。体重1㎏あたりにすると、60~70ml。愛猫の体重によって必要な理想の水量は変わるので、ベストの水量を把握しておきましょう。水量は多すぎても少なすぎても、NG。愛猫の健康を守るためにも、理想の水量をキープできるよう飼い主が気をつけましょう。

水をよく飲む時・まったく飲まない時の注意事項

動物,犬,猫,しつけ,飼い方,育て方,病気,健康

IRISLUK/Shutterstock.com

いつもと水を飲む量が違うという時は、要注意。水を飲む量が突然増えた時は、糖尿病や慢性腎臓病などの疑いがあります。とくに高齢の猫に多いといわれています。一方、水を飲まない状態が続いた時も、心配ですね。その際、排尿の様子をよく確認してみてください。尿の量がいつもと異なる場合は泌尿器の病気があるかもしれません。尿石などによって尿道が完全につまったまま放置すると最悪の場合、死に至ることも。また、泌尿器以外の病気が原因となっている場合もあります。少しでも異変を感じたら、かかりつけの獣医師に相談してください。

愛猫には、いつまでも長生きしてほしいもの。病気予防のためにも、猫自ら水を飲む工夫をして、理想の水量をキープしましょう。

内容について報告する