【獣医師監修】猫につく寄生虫、その代表例と予防方法について
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【獣医師監修】猫につく寄生虫、その代表例と予防方法について

猫は自由気ままな生活を好むといわれますが、中には猫同士のじゃれ合いを好む猫もいます。しかし、一匹の猫が寄生虫を持っていたら、じゃれ合うことでほかの猫にもどんどんうつってしまいます。また、草むらなどを媒介として、間接的にうつることもある厄介者に注意しましょう。

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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

猫につく代表的な寄生虫とその症状

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猫の寄生虫には、以下のようなものがあります。まずは皮膚につく虫から紹介しましょう。

シラミ

大きさ1~2mmくらいの楕円形の虫で、猫の被毛の中に棲みつきます。何気なく猫の毛を掻き分けてみたら多数のシラミが皮膚に食いついていた、ということもあります。

ノミ

高くジャンプするので見つけやすい、大きさも色もゴマのような黒い虫です。シラミと同じく、猫の皮膚に食いついて血を吸います。

疥癬(かいせん)

肉眼では見えない小さなダニで、皮膚の内側にもぐりこむことで皮膚病を引き起こします。感染すると、耳の縁から顔中に広がるかさぶたができ、猫はとても痒がります。

ツメダニ

肉眼でぎりぎり見えるくらいの大きさのダニで、皮膚が少し赤くなる軽度の症状がみられます。フケが多く出るのが特徴です。

ミミダニ

その名の通り、耳の中に棲みついて増殖し、外耳炎を引き起こします。耳が痒くなり、大量の黒い耳垢が出ます。

続いて、体内(胃腸)に棲みつく虫です。

猫回虫

3~12cm程度の白い細長い虫で、猫の体内に大量に寄生して嘔吐・下痢を引き起こします。便に混ざって排出された卵が、グルーミングなどにより口に入ることで感染しますが、仔猫の場合は、母猫から胎盤感染することもあります。

また、この回虫はズーノーシス(人獣共通感染症)でもあるので、とくに幼児がいる家庭では注意が必要です。

猫鉤虫

腸に噛みついて血を吸う、1cm程度の白くて細い虫です。血を吸う時に、猫の血液が固まらないようにする物質を出すので、出血がなかなか止まりません。症状としては下痢や血便がみられるほか、大量に発生した時には貧血を引き起こすこともあります。

瓜実条虫

ノミから感染するサナダ虫の仲間で、頭は小さいですが、腸にくっつき新しい節を次々と作ります。成熟した節にはたくさんの卵が詰まっていて、その卵入りの節が破れ、便とともに排出されます。

ノミの幼虫がその卵を食べ、卵を食べたノミを猫が食べることで寄生されます。健康上の被害はとくにありませんが、便とともに排出される卵入りの節は、見た目的には気持ちの良いものではありません。

マンソン裂頭条虫

カエルやヘビから感染する、長くて平たいサナダ虫の仲間です。瓜実条虫との違いは卵が直接排出されることで、症状としては下痢を生じる場合があります。

トリコモナス

原虫(単細胞寄生生物)の仲間で、肉眼では確認できないほどの大きさの虫です。大量に寄生されると、下痢や水様便、血便などの症状が出ます。

コクシジウム

原虫の仲間で、腸の細胞を壊しながら増殖し、下痢・血便・食欲不振を引き起こします。この寄生虫は、一度感染してしまうとなかなか駆除できないという面倒な虫です。環境の変化やストレスにより急激に増殖し、仔猫の場合は症状が一気に悪化する危険性があります。

フィラリア症

蚊を媒介としたフィラリアの成虫が右心室や肺動脈に寄生することにより、循環器障害・呼吸障害・肝腎疾患などを引き起こします。猫の場合は、とりわけ呼吸器への影響が大きく出ます。数ヶ月かけて成長し、心臓の中にオスとメスのフィラリアが寄生した場合にはたくさんの子虫(ミクロフィラリア)を生みます。このフィラリアに感染している猫の血を吸った蚊が、ほかの猫の血を吸うことで感染が広がります。

予防方法

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ノミやシラミは、定期的にスポット剤を使用して予防します。また、寄生虫の多くは屋外でもらってくることが多いので、家の中で飼う方が感染リスクは下げられます。

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また、すでに猫を飼っている家に新たな猫を迎える時は、皮膚や便に寄生虫がいないかどうかを動物病院で診察してもらうようにしましょう。もし、寄生虫がいた場合は、駆除が終わるまで隔離しておきましょう。

寄生虫には様々な種類があり、中には猫の健康に大きな被害を与えるものも存在します。飼い主の心掛けで予防できることも多いので、猫の体調管理をしっかり行いましょう。

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