【獣医師監修】犬のしっぽの機能や、しっぽから読み取る犬の心理
犬が尻尾を振る、丸めるなどのさまざまな動きには何か意味があるのでしょうか? 意外に知らないしっぽの機能や犬の心理を探ってみましょう。
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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長
愛犬がうれしそうにしっぽを振って近寄ってくる姿は、見ているだけで癒されます。ワンちゃんがフリフリする尻尾は、犬にとって大事な機能を果たしている器官です。そして、犬の心を表す敏感なパーツでもあるのです。しっぽから愛犬の心理を読み取ることができると、一緒にいることがさらに楽しく思えてくることでしょう。
意外と知らない犬の尻尾の機能、状態や動きが表す感情をご紹介します。
しっぽの機能
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犬はしっぽを小刻みに動かしたり、くるりと丸めたり、とても器用に動かすことができますよね。犬の尻尾は、背中から続く尾骨です。複数の尾骨が連なり、先端にいくほど細くなっています。尾骨の周りにはいくつもの筋肉があり、それぞれ筋肉が収縮することでさまざまな動きができるようになっています。さらに、筋肉の一部が損傷しても、別の筋肉がその機能を補う働きがあるということにも驚かされます。
さまざまな動きが可能な尻尾には、以下のようなとても重要な役割があります。
体のバランスコントロールや舵取り
尻尾は、基本的には体のバランスを保つための重りとなります。走るときなどに尻尾で下半身のバランスを取り、転倒などを防ぎます。急に曲がるときや方向転換するときの舵取りの役目もあります。泳ぐときも同様です。
体を保温する
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長くふさふさの尻尾を持つ犬種であれば、寒い冬などに体を丸めてしっぽで鼻先を覆って眠る姿が見られます。これは、しっぽで寒さから身を守って体を保温するとともに、鼻から冷たい空気を吸い込まないようにする効果があるようです。
コミュニケーションをとる
感情や意志を伝えるための道具のひとつとしても使われます。しっぽの動きをよく観察すると、そのときの犬の気持ちを察することも可能です。また、犬同士のコミュニケーションツールとしても重要な働きをします。
体を守り、気持ちも表すしっぽは、実に機能的で重要な部分であるのがわかりますね。犬の大切な機能と役割がある尻尾は、とても敏感で繊細なパーツです。強く引っ張る、怪我などで切れてしまうことなどのないよう注意してあげてくださいね。また、尻尾を自分で噛むようなら、どこかに痛みがあるなどの怪我や病気があるかもしれません。しっぽにはできもの(腫瘍)が出来ることもありますので、お尻周りからしっぽの先までたまにチェックしてあげるといいでしょう。
しっぽの状態と感情
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生まれたての子犬は四肢でしっかり立つことはできず、しっぽもうまく動きません。10日ほどで目が開き、それ以降から動きも少しずつ活発になりはじめ、しっぽも徐々に動かすようになります。子犬同士で遊び始める頃にはしっぽの表現も豊かになってきます。
素早くしっぽを振る
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ウキウキ、ワクワク、ドキドキ! 興奮している状態です。早く振っているときは興奮の度合いが強く、自由にゆるやかに揺らしているときは友好的な気持ちのときが多いようです。興奮するのはうれしいときだけではないので、その時々の状況や性格などを考えて感情を読み取ってあげましょう。
腰を落とし、しっぽを大きく振る
相手に対し、愛情と敬意を表すときに出る動きです。飼い主さんが帰ってきたときなどによく見られるはずです。
しっぽが水平近くでゆっくり振られる
リラックスしたフラットな状態であると考えられることが多いです。
しっぽがまっすぐに伸びている
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遠くから誰かが近づいてきたり、そばで何かが起こったりするときに出る動きです。お散歩中にしっぽを伸ばして立ち止まったら、ワンちゃんは遠くの何かが気になっているということです。
しっぽが垂れ、ぎこちなく揺れている
神経質になっているときや、不安を感じているときにみられます。
しっぽが後ろ脚の間に巻き込まれている
恐怖を感じている動きです。また、ワンちゃんを叱ると、しっぽを中にしまうような動きを見せることがあります。許してください…という降参の意味でもあるようです。
ワンちゃんのしっぽがどんな気持ちを表しているのか読み取れるようになると、さらに愛情が深まります。可愛いしっぽを大事にしてあげてくださいね。