【獣医師監修】犬はいつ、どうやって交尾するの?
愛犬に子どもを産ませたいと思う飼い主は多いかもしれませんが、実際は犬・飼い主にかかる負担が大きいことから、獣医師などの専門家は、一般家庭での犬の繁殖を推奨していません。今回は、犬の繁殖について解説していきます。
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長
犬の交尾って?
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犬の交尾は、本能的な欲求によって行われるものです。それは、子孫を残すために意図的に行うものではなく、本能的欲求の結果として仔犬が生まれるということです。
交尾前のオス犬とメス犬は、互いにじゃれつくような仕草をみせながら、互いのニオイを嗅いだり舐めたりする「交尾前行動」を行います。その後、準備ができたメス犬は立ったまま静止し、しっぽをずらしてオス犬に合図を送ります。
メス犬の準備ができたことを知ったオス犬は、顎をメス犬の背中に乗せ、 前足でメス犬の下半身を抱え込むようにしながらマウンティングを行います。
その後、オス犬は、腰を突き出してメス犬の膣の中にペニスを挿入し、腰を前後に動かすと同時に後ろ足で足踏みを行います。この運動をすることで、膨らんだ尿道球腺(亀頭球)が膣の中にペニスをロックし、オス犬は亀頭球をメス犬の子宮付近で固定した状態で精子を放出します。
この段階では、まだペニスが膣の中でロックされています。メス犬が無理やり逃げようとしたり、 飼い主がリードを引っ張ったりすると、ケガの原因となることがあるので、しっかり固定するようにしましょう。
その後、オス犬はカラダを180度回転させ、互いに背を向け合った状態で5~45分ほど結合を維持する「陰部結合」という行動をとります。この時間に、放出しきれなかった精子や精子の流れを助ける前立腺液を放出し、妊娠を促しているものと考えられています。
犬の交尾に関するトラブル
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犬の交尾は通常、発情期に行われます。発情期を迎えた犬は、オス・メス関係なく、いろいろな場所でおしっこをしてしまう場合があります。また、交尾を終えた犬は、ほかの犬に対して吠えたり噛みついたりと、攻撃的な態度をとります。
このように、犬の発情や交尾にはトラブルがつきものなので、飼い主としても気苦労が絶えず、仔犬が生まれてからは経済的な負担も増えてしまいます。
また、犬は交尾をすることで生殖器系の病気になりやすくなります。
オスはテストステロン、メスはプロゲストロンやエストロゲンといった性ホルモンが体内で分泌されていますが、これらの性ホルモンは生殖器の病気と密接に関わっていて、交尾によりホルモンの分泌が増えることでそのバランスが崩れると、生殖器系の病気にかかりやすい状態になってしまいます。
また、このホルモンバランスの異常は、生殖器系以外の病気を引き起こす原因にもなるので注意が必要です。
犬の交尾の対処方法
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では、このような犬の繁殖に伴うトラブルを予防するためには、どうすればいいのでしょうか。一番の対処法は、仔犬ができない環境を作ることです。
オス犬には去勢手術を、メス犬には避妊手術を受けさせることで発情が抑えられ、望まない妊娠をしてしまうおそれもなくなります。加えて、生殖器系の病気にかかりにくくなるというメリットもあります。
また、飼い主がこまめにスキンシップをとることで、性欲を減退させることができるという専門家もいます。飼い主とのコミュニケーションによりストレスが発散され、精神的な安心感が得られるため、結果として性欲の高まりを落ち着かせることができるというわけです。
犬が過ごしやすい環境を作り、ほかの人や犬に迷惑をかけてしまわないように気を配るのは飼い主の役目です。犬の性欲は本能的なものなので、コントロールするには飼い主の気遣いが必要になります。犬の健康を守るためにも、本能を放置するのではなく、しっかりとした対策を考えましょう。