【獣医師監修】猫に生理はあるの? 発情期の時期や対策について
猫の発情期はいつ? 真夏の8月や真冬の12月に発情することもあるの? 大きな鳴き声に粗相(そそう)と、問題行動への対処法も考えてみましょう。
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長
猫の発情期と期間
まだまだ仔猫だと思っていたら、発情期はある日突然やってきます。猫の成熟期はメスが生後3.5~12ヶ月で、平均すると生後5~9ヶ月です。一方、オスの方はメスよりちょっと奥手で、生後6~9ヶ月。地域によって差はありますが、発情する時期は1~3月と5~6月の年2回。ただ、これに8~10月を加え、年3回のケースもあるようです。一年を通して気温差がなく、夜も明るい環境で暮らしている室内猫は、たとえ真夏や真冬でも、季節に関係なく発情することがあります。
そもそも、発情の主導権を握っているのはメス。オスは、メスの発情に応えるカタチで発情します。メスは交尾をすれば発情は収まりますが、しなければ1~2週間ほど続きます。オスはメスに左右されるため、極端なことをいえば一年中発情することができるのです。
発情は子孫を残すための本能でもあるだけに、メス、オスともにいつまでも交尾をしないとストレスがたまり、寿命が短くなることもあります。メスの場合は、子宮蓄膿症にかかりやすくなるので、猫を飼ったら発情期を見据えた対策を考えておきましょう。
発情期を迎えたサインとは?
猫は発情期を迎える直前、この時期特有の行動をとります。その姿はまさに恋の病…と言いたいところですが、大声で鳴いたり、走り回ったり、しつこくカラダを擦りつけてきたりと、様子が一変! いたるところで粗相(そそう)をするのも困りものです。次のようなしぐさや行動が見られたら、注意と覚悟が必要です。
相手を求めて激しく鳴く
発情期特有の大きな声で鳴きます。メスの鳴き声に応えてオスが鳴き、それがしばらく続くことがあります。
落ち着かなくなる
身の置きどころがなく、落ち着きがなくなります。興奮したように家の中を走り回ったり、脱走しようとします。
カラダをあらゆるところに擦りつける
メスは、ゴロゴロと喉を鳴らしながら地面や床にカラダを擦りつけます。カラダを擦りつける対象は、人やオス猫の場合もあります。
頻繁にスプレーをする
尿をかけて、自分の縄張りであることを示すのが猫のスプレー行動ですが、発情期はオス猫を惹きつけるために、スプレー行動が激しくなります。あちこちで粗相(そそう)をするため、飼い主は大変です。
猫には生理がないって本当?
じつは犬と違って、猫には生理がありません。排卵された卵子が子宮内に着床しなかった時、つまり妊娠しなかった場合に、不要になった子宮内膜とともに体外に排出されるのが生理です。猫は交尾をした時だけ排卵する「交尾排卵動物」のため、生理がありません。
交尾排卵は、交尾後に排卵するため、受精の確率が高く、効率よく子孫を残せる生殖システムです。排卵が起こると、メスの発情は終了します。
猫に生理がないとは知らず、陰部からの出血や猫トイレについた血液を生理だと思ってそのままにしておくと大変です。子宮内膜症、子宮蓄膿症、子宮ガン、膀胱炎、尿路疾患などの病気が潜んでいるかもしれません。
発情期の対策について
貰い手のない仔猫を増やさないためにも、発情期の対策として確実なのは、去勢・避妊手術をすること。健康なカラダにメスを入れるのを嫌う飼い主もいると思いますが、実際に発情期を体験すれば、猫も飼い主もストレスがたまって、「手術をしておけばよかった!」ということにもなりかねません。お互いの幸せのためにも、去勢・避妊手術をすることをおすすめします。
ただ、注意したいのは手術の時期を間違えないこと。一度、発情を経験した猫は、手術後も同じような行動をとってしまう場合があるため、1回目の発情期を迎える前が手術のベストなタイミングです。
それ以外には、猫が好きなマタタビを与え、発情の欲求を抑えるというのも一つの方法ですが、マタタビには脳を麻痺させる成分が入っているので、与えすぎは危険。中にはマタタビアレルギーの猫もいて、与えると呼吸困難を引き起こし、死に至ることもあります。
なお、メスには次のような対策もあります。メスの場合、排卵が起きれば発情は収まります。そのため、メスの膣に綿棒を入れて、疑似交尾をすることで、排卵を促す方法も効果的です。ただ、じっとしていない猫に処置をするのはなかなか難しいもの。安易に行うと、カラダを傷つけてしまう恐れもあるので、必ず獣医師の指示を仰ぎましょう。
日本の住宅事情を考えれば、猫が発情によって大声で鳴いたり、騒いだりするのは近所迷惑にもなりかねません。いつまでも、長く、楽しく、愛猫と暮らすためには、そうしたトラブルは厳禁です。人間の事情で去勢・避妊手術をするのはかわいそうと思う人もいるかもしれませんが、交尾できる相手がいるわけでもなければ、生まれてくるすべての仔猫の貰い手を見つける、万が一貰い手が見つからなかった場合は自分で最後まで面倒をみる覚悟もない場合は、割り切って手術をした方が猫のためにもなるのです。
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