災害時に困らないためのペット防災! 今やっておきたいしつけとは【猫編】
猫ちゃんはワンちゃんと違って、きちんとしたしつけをするのが難しいですが、日ごろから災害を想定した環境に慣らしておくことは大切です。無理のないところから、猫ちゃんと一緒に簡単なしつけを始めて、災害時に命を守れるようにしましょう。
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犬のしつけは一般的ですが、猫ちゃんのしつけというと、何をすればよいかわからない飼い主さんが多いと思います。しかし、日ごろからきちんとしつけを習慣づけておけば、いざ災害が起きたときに猫ちゃんの命を繋ぐ生命線になることもあるんです。
1.猫の防災【しつけをする前に覚えておきたいこと】
猫のしつけは根気が大切
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猫ちゃんは、ワンちゃんのように飼い主さんのいうことを素直に聞いてくれる動物ではありません。そんな気ままなところが魅力でもあるのですが、しつけを覚えさせるときに困る飼い主さんも多いようです。
猫ちゃんをワンちゃんのようにしつけるのは難しいです。無理やりにしつけをするのではなく、猫ちゃんの性格や習性を上手く生かして、猫ちゃんが自然としつけを習慣づけられるようになるのが理想的です。そのためには、飼い主さんが根気よく猫ちゃんに教えてあげる必要があります。
災害はいつ起こるかわかりません。いざというときに慌てないように、日常生活に少しずつしつけを取り入れて、猫ちゃんにストレスがないようなしつけを心掛けましょう。
体罰は人を怖がるようになる
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基本的なことですが、しつけに体罰を用いるのはやめましょう。飼い主さんから体罰を与えられると、猫ちゃんは人間を「怖いもの」と認識し、強い警戒心を抱くようになり、迷子になったときの保護や治療が困難になります。
猫ちゃんに体罰を与えても、猫ちゃんはなぜ怒られたのかわかりません。叱りつけるよりも、上手くできたときには褒めてあげて、良い関係を築けるように心がけることが大切です。
2.猫の防災【愛猫を守るためのしつけ】
クレートに慣れるためのしつけ
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避難所では、飼い主さんとペットの居住区は分けられることが多いです。そのとき、ペットはクレートやケージなどの狭い空間で過ごすことが多くなります。
猫ちゃんは環境の変化に非常に敏感な動物なので、慣れない場所だと食事はおろか、水を飲んだりトイレをすることもできないことがあります。強いストレスを感じているなかで、そのような状態が長時間続けば、当然体調を崩す恐れもあります。
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そのようなことを避けるためにも、猫ちゃんをクレートに慣らす訓練が必要です。これは「クレートトレーニング」と呼ばれるもので、ワンちゃんにも行われるしつけです。猫ちゃんも、クレートを日常生活で使うことで、自然にこのトレーニングができるようになります。
まずは猫ちゃんの好みそうな場所にクレートを置いて、中に猫ちゃんの匂いがついたタオルやクッションを置きます。または、おやつや食事などをその中で与えるようにして、猫ちゃんにとって安心な場所だと認識させます。そうやって徐々に慣らしていき、猫ちゃんがその中で眠ったりくつろぐようになれば、完璧です。
クレートは頑丈なので、いざというときの避難場所としても有効です。猫ちゃんがとっさに飛び込んでくれれば、安全確保もしやすく、一緒に避難もしやすいというメリットがあります。
沢山の人や動物に慣れるためのしつけ
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飼い主さんや家族には人懐っこいけれど、来客があると逃げ回ってしまう、という猫ちゃんもいるのではないでしょうか。避難所では、多くの見知らぬ人やペットと過ごす生活になるので、人見知りの猫ちゃんにとっては、その環境は非常につらいものです。
飼い主さんが何らかの事情でお世話ができず、他の人がお世話をしても、怯えず安心していられる猫ちゃんになれるように、日ごろからしつけをする必要があります。
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猫ちゃんはワンちゃんと違って外へ散歩に出たりすることはないので、飼い主さんが積極的に他の人と触れ合わせる必要があります。定期的に友人などの見知らぬ人に会わせて、知らない人や物に対しても怯えないように慣らしていきましょう。
猫ちゃんによっては酷く臆病で、環境に慣れるまでは時間がかかることがあります。そんなときは無理に人と引き合わせるようなことはしないで、まずは他人に驚かないようにすることを目標としていきましょう。
3.猫の防災【しつけと合わせてやっておきたいこと】
去勢・不妊手術
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猫ちゃんは発情期になると大きな声で鳴き、マーキングと呼ばれるニオイがきつい尿を出すため、避難所で暮らす他の人の迷惑になります。さらに、万が一猫ちゃんが逃げてしまった場合、繁殖して野良猫を増やすことにも繋がります。
周囲への配慮と、野良猫を増やさないためにも、繁殖の予定がないのであれば去勢や不妊手術を行うのや良いでしょう。発情期に狭いクレートや不安定な環境で過ごすことは、猫ちゃんにとっても苦しいことです。できるだけ早いうちに手術を済ませておきたいですね。
リードやハーネスの使用
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しつけと合わせてやっておきたいのが、リードやハーネスの使用に慣れることです。避難所では基本的にクレートで過ごすことになりますが、物資が届くまでは区切られていないスペースで過ごすこともあるかもしれません。そんなとき、猫ちゃんが脱走したりしないように、ハーネスやリードを付けることになります。
しかし、猫ちゃんがリードやハーネスを初めて経験すると、固まって動かなくなってしまうことがしばしばあるようです。猫にとっては、ただでさえ慣れない環境なのに、体を得体のしれないものに拘束される、というのはとてもストレスを感じる状態なのです。
災害時にいきなりハーネスをつけるのではなく、まずは日常生活にハーネスやリード、首輪などを取り入れて訓練してみましょう。猫ちゃんにとってはストレスになることに変わりはないので、初めは短い時間着用して、すぐに外してあげましょう。
また、目を離すとハーネスなどが家具にひっかかって怪我をする可能性があります。装着している間は、必ず飼い主さんがいるようにしたいですね。
決まった時間にご飯をあげる
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どんなに飼い主さんが気を付けていても、猫ちゃんがパニックになって逃げだしてしまうこともあります。猫ちゃんは、一度逃げ出すと飼い主が呼んでも戻ってこないことが多く、捜索に時間がかかることが多いようです。
しかし、猫ちゃんは縄張り意識の強い動物なので、あまり遠くに行かず、近くに隠れている場合があります。そんなときに、役立つのが飼い主さんが与えていたご飯です。毎日同じ時間、同じ場所でご飯を与えていれば、体内時計に従って、猫ちゃんが家に戻ってくる可能性があります。
朝は午前9時、夜は午後20時と、きちんと時間を決めて餌を与えてみましょう。ただ、避難所生活では決まった時間にご飯を与えることが難しいこともあるので、あまり厳密に時間を決めるのではなく、20~30分ほど幅を持たせて与えてみるのが良いです。
猫ちゃんはワンちゃんと違って、指示をすれば何かしてくれる、というしつけをするのは難しいです。だからこそ、飼い主さんが日常生活にしつけを取り入れ、猫ちゃんにストレスがないように、災害に備えてあげることが大切ですね。