常滑やきもの散歩道の道沿いに、大正4年に建てられた土管工場を改装した「洋裁工房アトリエキューノ」がある。
2007年5月にオープンしてから約10年。店長の久野純代(くのすみよ)さん(41歳)は、元々医療事務の仕事をしていたが、服飾歴50年の母・元子さんがワンピースやスカートを製作販売する仕事ぶりを見て、自身もいつしかバッグやアクセサリーなど小物類を作りはじめたという。
妹さんも週末などに手伝いをしてくれて、親子で営むアットホームなお店となっている。自宅は東海市だが、黒塗りの土管工場の佇まいが気に入り店舗として借りたお店は、工房も兼ねている。
そんなレトロで温かみのある建物に、キジトラ柄の“テトちゃん”(8ヶ月♀)が時々ひょっこり顔を出す。
2016年9月の雨が降る日、近所の消火栓の下でミャーミャー鳴いていたところを純代さんに保護された。
「おいで」と言ったら初対面で肩に乗ってきたという生来の人懐っこさ。そんな日に拾われたからか風呂場が大好きで、家族が湯船に浸かっていると風呂の蓋の上でじっと飼い主を観察。
指をチューチュー吸うのが好きな甘えん坊だ。広い店の中を探検しては時折イタズラするが、猫好き家族から大事にされている。
糸など洋裁道具はイタズラされないように気をつけます
地域に密着した活動をしている純代さんは、市の観光イベントに関わったり、洋裁からイラスト、音楽に至るまで多才ぶりを発揮して、店内でもさまざまなイベントを企画する。
布にイラストを刺繍する多才っぷり。
店の外観写真も純代さん撮影。
ウクレレやギターなどのミニ音楽祭を開催したり、手芸教室を行ったり。
店内では本と人の縁を繋ぐ「まちライブラリー」も運営しており、洋書や小説、漫画まで所狭しと色んな本が並ぶ。“酒と本と猫を愛する会”と称した「ほんの寄る会☆カルテ室」というまちライブラリーイベントを毎月第2土曜日に開催。
「ほんの寄る会☆カルテ室」準備中の純代さんと助手テトちゃん
テトちゃんはお店にいたり自宅にいたりと気ままな生活なので、当日に猫がいるかどうかはお問い合わせを。
名鉄常滑駅から散歩道へ至る道路沿いに、招き猫アートがずらっと壁面に埋め込まれ並んでいる。巨大招き猫“とこにゃん”も近年海外から猫好きが訪れるほどの人気ぶり。
常滑とこにゃんをモチーフにした貯金箱。
テトちゃんも一緒に入浴中?
アトリエキューノがある散歩道には美しい土管坂、さらに折返し地点にある陶器店「ほたる子」では、巨体茶トラ猫店長“とらじさん”(推定11歳♂)に会うこともできる。
一年を通して散策が楽しめる観光地だ。
愛知県常滑市栄町2-36
TEL 0569-35-2729
営業時間:10:00〜17:00
定休日:火・土曜
https://atelierquno.jimdo.com
写真・文 原田佐登美