【獣医師監修】セルカークレックスの特徴や性格、飼い方について
動物保護施設で発見された、ひげと被毛がカールした猫。一歩遅れたら処分されてしまっていたかもしれないその猫が、セルカークレックスの起源となりました。
- 更新日:
監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長
セルカークレックスの歴史
被毛がカールしている猫はたくさんいますが、その中でも最新の品種がセルカークレックスです。1987年、アメリカの動物保護施設にいた雑種の猫の中から、ブルークリームとホワイトの、カールしたひげと被毛を持つ猫が発見されました。その猫に興味を持ったペルシャのブリーダー、ジェリー・ニューマンが引き取った猫に「ミス・デぺスト」と名前を付けて繁殖を始めます。ペルシャとの交配により生まれた6匹の仔猫のうち、半分の3匹がカールした被毛を持っていました。
研究の結果、このカールの被毛は優位遺伝子であることがわかり、熱心なブリーダーたちの手により繁殖が続けられています。ちなみに、セルカークレックスという名前の由来は、「ミス・デペスト」が発見された動物保護施設の近くにあるセルカーク山脈からきています。
セルカークレックスの特徴
セルカークレックスは、大きくたくましい体躯をしていて、頭が丸く鼻の短い愛嬌のある顔が特徴です。標準的な体重は3~7kgですが、オスの中には7kgを超える体格の猫も多くみられます。
被毛の長さは様々ですが、その特徴であるカールはどの長さでも起こります。そのカールした被毛には多くのカラーがあり、様々な毛色・パターンが認められています。
しかし、両親ともがカールの遺伝子を持っていない場合は直毛の仔猫が生まれることがあり、血統書上はセルカークレックスですが、セルティックという別名で呼ぶことがあります。
セルカークレックスの性格と上手な付き合い方
セルカークレックスは、「羊の皮を被った猫」と呼ばれるくらい、静かで落ち着いた性格の持ち主です。時には活発に動き回ることもありますが、基本的にはのんびり生活することが好きな猫です。また、辛抱強さも持ち合わせていますので、人見知りすることなく子どもの相手もしてくれます。
セルカークレックスと長く快適に暮らすためのヒント
セルカークレックスは、落ち着いた性格ではありますが、ハンティングが大好きです。仔猫の頃は、かなり活発に動き回ることもあります。また、大柄な体格の猫なので、キャットタワーを設置する場合には、安定性の高いものを選びましょう。
セルカークレックスは、それなりの抜け毛が発生するため、アレルギーのある飼い主にはあまり向きません。また、皮脂が多いことから、その抜け毛がカールした被毛に絡まってとどまりやすく、手入れを怠ると皮膚病のリスクが高まってしまいます。ショートタイプは週に2~3回、セミロング以上は毎日ブラッシングもしくはコーミングを行うようにしましょう。
セルカークレックスは、自然発生種が基礎になっている猫なので、病気には強いといわれています。しかし、繁殖の途中で導入されたペルシャは遺伝性疾患が多い猫種なので、腎不全の原因となる多発性のう胞腎や、肥大型心筋症などのリスクがないわけではありません。
中高齢の猫は、どの種類でも腎臓病になりやすいのですが、現在のところ完治させる方法が確立されていないので、食生活に気を遣う必要があります。普段より水を多く飲み、おしっこが増えている時は腎臓病のサインなので、動物病院で診てもらうようにしましょう。
後天的な病気としては、上述の通り遺伝的に皮脂の分泌が多いことから、日本の高温多湿の気候で生活すると様々な皮膚炎を患う可能性があります。真菌症や脂漏性皮膚炎、外耳炎といった病気にかかることがあるので、カラダを清潔に保ってあげてください。
また、鼻が短いので涙管も短く、涙が溢れやすい個体も多くみられます。溢れた涙を放置すると、湿った部分に雑菌が繁殖してしまうので、気づいた時には拭き取ってあげるようにしましょう。
ブリーダーから猫を迎える方法と、その際の注意点について | PECO(ペコ)飼い猫を選ぶ方法の中に、ブリーダーから迎えるという方法があります。そこで今回は、良いブリーダーの探し方や選び方を紹介します。
猫が涙を流している! 泣く理由と、注意すべき「涙やけ」 | PECO(ペコ)猫の大きな目が涙で濡れている…。泣いているの? それとも何かの病気? 目やに、鼻水を伴うものなら思わぬ病気が潜んでいるかもしれません。