沖縄本島
さまざまな季節に訪れている沖縄へ、日本で一番早く咲く寒緋桜を見に飛んだ。真冬でも暖かい公園でピンク色の首輪を付けた猫に出会えた。
1~2月に咲く濃いピンク色の寒緋桜。「花よりダンゴ」ならぬ「花よりオモチャ」なヤンチャ猫
「近所の公園だからよく来るけど今日は満開ね」。
飼い主さんに大切に抱っこされ、桜の下を気持ちよさそうに散歩していた。
二千円札にも描かれている守礼門の記念写真スポットにて。人懐っこい猫と民族衣装を着たお姉さん
世界遺産の首里城は悲しくも昨年10月の火災で焼失してしまったが、以前、民族衣装のお姉さんと猫に会えた守礼門は離れているため無事と聞き、胸をなでおろす。
ユーモラスな顔をしたシーサーがある「壺屋やちむん通り」は焼き物の里
ノスタルジックな焼き物の街をそぞろ歩き。ゆるやかな時間が流れていた。
石垣島
八重山諸島の中心石垣島は、本島よりも海の色が青く透明度が増すのに驚く。
朝、白い砂浜を行き交う観光客やグラスボートを見送る人懐っこい茶トラ君
世界的なガイドブック『ミシュラン・グリーンガイド』で三ツ星を得た川平(かびら)湾はカビラブルーと呼ばれ、快晴に恵まれれば夢のように美しく輝く。グラスボートに乗ればカラフルな熱帯魚と数多くのサンゴを船上から楽しむことができる。
熱帯の木々の間に、猫ハウスや見晴台があった
ビーチで出会った猫たちは人懐っこく、それぞれ名前がついているそう。中には、観光客のお見送りをしたり、時には船に乗り込んでしまったコもいるとか。
船長の愛猫はお腹マッサージされるのが大好きでウットリとした表情に
冬でも南国の日差しは暑く、日が昇ると木陰やベンチの下で涼んでいた。
竹富島
石垣島から船でわずか15分の竹富島では、昔ながらの沖縄の風景を見ることができる。白砂の道にサンゴの石垣、ハイビスカスの花々が咲き誇り、のんびりと牛車が歩く。
遠浅が続くビーチにはふっくらとした猫が多くなった
レンタル自転車を借りて集落をひと回り。どこからか三線の音色が聴こえてくる。
日も暮れて誰もいなくなった海岸で三線の練習を猫に聞かせる若者
ビーチの猫たちに会いに行くと、かつては痩せたコも見かけて胸を痛めたが、訪れるたびに避妊去勢の印である耳先カットのコが増えたり、キチンとしたお家が作られていて、世話してくれている地元の人たちに心から感謝。
サンゴの石垣で大きなバナナの木と。レンタル自転車屋さんの愛猫はオッドアイ
人懐っこい猫たちは観光客と遊んでくれて、お別れする時はいつも後ろ髪を引かれる想い。
やさしい人たち
島ではやさしい人たちとの出会いがあった。沖縄本島ではNPO法人「動物たちを守る会ケルビム」が保護猫カフェ「Nyangusk(ニャングスク)」を宜野湾市にオープンしたり、犬猫を保護するアニマルガーデンを新しく設備し、定期的に譲渡会を開いている。
100匹近くの保護猫がおり、猫シェルターも増設中(写真提供・動物たちを守る会ケルビム)
石垣島の「猫雑貨にゃんこのしっぽ♪」のオーナーさんは、釣り針にかかった猫や病気ののら猫たちを病院に連れていっている。
石垣島にある「にゃんこのしっぽ♪」オーナー栗原さん。可愛い猫雑貨を販売している
また、雨の日や島を巡る時間が足りない時でも、石垣空港から送迎もしてくれる猫カフェ「CatCafe 美ら猫」の猫が遊んでくれる。11匹のスタッフ猫のうち、7匹は元保護猫だ。
手作りの猫オヤツに群がる猫スタッフたち
ぬちどぅ宝(命こそ宝)を謳(うた)う島人が見守る猫たち。これからも愛と平和の象徴であり続けてほしいと願う。
Cat Cafe 美ら猫
沖縄県石垣市宮良97-105
TEL 0980-87-6170
営業時間/10:00~20:00
定休日/不定休
https://chura-neko.com
「動物たちを守る会ケルビム」の猫カフェ「Nyangusk」
沖縄県宜野湾市大山6-10-1 エコーハイム101
TEL 098-897-6971
営業時間/12:00~19:00
定休日/元日、第4金曜
https://nyangusk.ocnk.me
にゃんこのしっぽ♪
沖縄県石垣市桴海247
TEL 090-7586-6838
営業時間/10:00~18:30
定休日/不定休
https://myaaa-ishigakijima.jimdo.com
Harada Satomi
愛知県在住で保護猫3匹と暮らす。著書に、世界の猫写真と紀行漫画で綴る単行本『猫にまたタビ』(辰巳出版)。日本写真家協会会員。
写真・文 原田佐登美